衝撃トレードだ。巨人とソフトバンクは秋広優人内野手(22)と大江竜聖投手(26)、リチャード内野手(25)の2対1の交換トレードが成立したと12日に発表した。阿部慎之助監督(46)率いる巨人と小久保裕紀監督(53)が束ねるソフトバンクの間でトレードが行われたのは今回で2度目。現役時代の両監督と巨人で同僚だった本紙評論家・前田幸長氏に、阿部監督が実は〝予告〟していたことを明かすとともに、トレード第3弾の可能性も占った。
昨季の両リーグ覇者が未完の大器を新天地に送り出した。身長2メートルを誇る秋広は、2023年に121試合に出場。松井秀喜氏に代表される背番号55をつけたが、翌24年は26試合の出場にとどまり、今季もわずか5試合で打率1割4分3厘(7打数1安打)と殻を破れずにいた。
一方のリチャードも「ロマン砲」として絶大な期待を集め、二軍では5年連続の本塁打王に君臨。だが、一軍では底知れぬポテンシャルを発揮できず、こちらも環境を変えて再出発を図る形となった。
両者とも今か今かとブレークを期待されながら、入団した球団では大輪の花を咲かせることはできなかった。それだけに2人の〝放出〟に両球団のファンが受けた衝撃は大きかったが、前田氏は「やっぱりか」と冷静に受け止めた。というのも、今春の巨人キャンプを訪れた際、阿部監督が自ら2人の名前を出し「お互いくすぶっているし、トレードしようかな」と胸の奥底に秘めた思いを口にしていたからだった。
前田氏は阿部監督と小久保監督が巨人のユニホームを着て活躍していた2004年から07年まで、同僚としてプレーしていた。当時の印象について「年齢も離れていたし、特別親しく行動をともにしていたような印象はない」としながらも、指導者としては共通点があるとみている。それが勝負師としての厳しさだ。
「両監督とも見切るのは早い。リチャードや秋広本人たちが目の色を変えてやっていたとしても、両監督がやっていないと思えば、やっていないも同然ということになる。阿部監督が秋広に、小久保監督がリチャードに厳しい言葉を投げかけていたのは、そういうことだと思う」
これで阿部―小久保体制となって実現したトレードは2例目だ。23年11月に巨人からウォーカー、ソフトバンクから高橋礼と泉の2人がそれぞれ移籍した。では〝ネクスト〟はあるのか…。中でも焦点となりそうなのが、ソフトバンクの扇の要だ。昨オフに長年正捕手を務めた甲斐が巨人にFA移籍し、海野や渡辺ら20代の捕手に経験を積ませながら成長を促している。
前田氏は「巨人の捕手陣は甲斐、岸田もいて4~5年は安泰だろう」とした上で「経験やインサイドワークがある小林や肩がいい山瀬には、チャンスが巡ってきづらい状況にある。ホークスにいけばチャンスは十分あるのではないか」と占った。
もっとも「どちらも打撃に課題がある。打率2割5分くらい打てれば…」との注釈も忘れなかったが、小林も山瀬も今季一度も一軍に昇格できていない現実もある。
もちろん、トレードは需要と供給が合致して初めて成立するもの。ただ、お互いに昨季達成できなかった日本一奪回に燃えるかつての〝戦友〟だけに、今後の動向からますます目が離せなくなりそうだ。












