ソフトバンクのリチャード内野手(25)が秋広優人内野手(22)、大江竜聖投手(26)との交換トレードで巨人に移籍することが12日に決定した。

 近未来の主軸候補として有望視されてきた長距離砲が、戦いの場を伝統球団に移した。巨人では不動の4番・岡本が左ヒジを負傷して長期離脱。簡単に埋められる穴ではないが、チーム編成上「一塁と三塁を守る強打の内野手」が補強ポイントとみられていた。

 リチャードはまさに鷹の有望株だった。昨季まで5年連続でウエスタン・リーグ本塁打王を獲得。だが、打撃の確実性という課題を克服できず、一軍定着がかなわないシーズンが続いた。2021年に34試合に出場して7本塁打をマークするも、出場機会は年を追うごとに減少。今季は開幕一軍スタートも、わずか6試合の出場で4月上旬に二軍降格となっていた。

 一軍で結果を残せないのは課題や弱点があるからに違いないが、特別な才能を持っていることは確かだ。王会長も素質にほれ込み、昨季の2冠王・山川は「メジャーで頂点に立てるポテンシャル」と力説したほどだった。

 明確な根拠もある。3月30日のロッテ戦(みずほペイペイ)でリチャードがマークした今季初安打に、桁外れの可能性が詰め込まれていた。角度がつけば本塁打という低弾道の左中間二塁打だったが、その打球速度は何と「191キロ」。ドジャース・大谷が今季計測した最速記録「117・9マイル(約189・7キロ)」をしのぐ〝弾丸〟だった。この球速は練習ではなく「公式戦」で叩き出された驚異的な数値。だからこそ価値があり、球団内はひそかに色めき立っていた。

 近年のホークスは、MLBのような積極的なトレードを含めた球界内の移籍活性化を歓迎。「小久保―城島(現CBO)体制」が強固になってからは4件目のトレードとなった。ソフトバンクには一塁と左翼を守れる高卒5年目の大砲候補・秋広と実績豊富な中継ぎ左腕の大江が戦力として加わる。ともに補強ポイントに合致し、魅力的な「1対2」の交換トレードだ。

 3選手それぞれが両球団から求められての移籍。大きな期待を受けて、プロ野球人生の第2章が幕を開ける。