8年目の変身に覚醒の予感が漂う。ソフトバンクのリチャード内野手(25)が17日に行われた宮崎春季キャンプ2度目となる紅白戦で「4番・三塁」としてスタメンに名を連ね、強烈な一発を放った。2回の先頭で左腕・浜口の初球真っすぐを強振すると、打球は左中間最深部へ突き刺さった。「立場的にもアピールするしかない」。2月中旬の早い段階で飛び出した価値ある実戦1号を控えめに喜んだ。

 置かれた立場は去年までと変わらないが、大きく変わったのは結果に一喜一憂せず過程を重視する姿だった。「今日も準備がよくできた」。実戦に入る前、師と仰ぐ山川穂高内野手(33)から「ここまでは教えてこられたけど、実戦に入ったら結局打つのはお前だから」と声をかけられ、力強く送り出された。

 前クールに行われた実戦形式の打撃練習ではこれまでにない準備があった。「大津さんに(事前に球種を)チェンジアップと言われたけど、あえて真っすぐのタイミングで待っていた。伝えられた球種のタイミングで待っていても実戦が始まったら打てない」。生活面を含め、朝起きてからの一つひとつの準備の「質」が上がっている。

 一発を放った直後の第2打席は3球三振に倒れた。「田浦はチェンジアップがいい。3球来たら『まあいいや』と思って入った」。3球とも変化球を空振りしたが「めちゃくちゃ切り替えやすかった。ドンマイです」とうなずく。「変な考え方をしたら打てない」。あらゆる準備の質が上がったことが、割り切りのうまさにつながっている。

 第3打席は犠飛、第4打席は押し出し四球で仕事を果たした。紅白戦2試合で5打点。小久保監督は「(今日は)3打点ね。4番らしい活躍。去年より少しヘッドを上から出す感じのイメージで振っている」と評し、目を細めた。直近2年は一軍ノーアーチも二軍では5年連続の本塁打王。未完の大器に目に見える変化が起きている。