女子プロレス「センダイガールズ」の〝女子プロ界の横綱〟こと里村明衣子(45)が、自身の引退記念興行(29日、東京・後楽園ホール)で30年のプロレス人生にピリオドを打った。

 昨年7月に現役引退を発表。引退ロードでは仙女ワールド王座を約8年ぶりに戴冠し、今年3月に橋本戦で王座から陥落したが好調さを見せつけた。さらに師匠の長与千種とのタッグ結成も実現させ、プロレス人生の終焉に向け歩みを進めてきた。

 デビュー戦の地・後楽園で迎えたラストマッチでは愛海と組み、永遠の好敵手・アジャコング&ワールド王者の橋本千紘と対戦した。ハイライトは14分過ぎ、橋本と向き合うと里村スペシャルからの強烈な蹴りをお見舞い。だが、アジャにバックドロップ3連発をくらい追いつめられた。さらに20分過ぎアジャにスコーピオライジングを避けられると一斗缶で殴られぼうぜん。一斗缶の上に垂直落下式ブレーンバスターを食らってしまうとピンチを迎えた。

スコーピオライジングでアジャコング(下)から3カウントを奪う里村明衣子
スコーピオライジングでアジャコング(下)から3カウントを奪う里村明衣子

 だが横綱の心は折れなかった。アジャの裏拳を橋本に誤爆させると一気に流れを引き寄せる。最後はアジャにスコーピオライジングを決め完璧な3カウントを奪った。

 試合後、マイクを持ったアジャから「ちょっとストップ! 思えばお前との試合はいつもどっちかがぶっ倒れてたな…最後の最後でクソッタレが! でも言っておくがお前との戦いは来世に持ち越しだよ」と言い放たれた。その上で「今世の戦いはこれで終わったかもしれないが、俺の最後のわがままを聞いてくれないかな。5分でいいから里村明衣子とアジャコングが組んで試合させてくれよ。相手は誰だっていい。やりてえヤツ出て来いよ!」とタッグマッチ提案され里村も受諾。リングに上がってきた橋本千紘、岩田美香、YUNA、マーベラスの彩羽匠、暁千華と急遽5分間2対5のハンディキャップマッチで対戦することが決定した。

 再びゴングが鳴ると後輩たちから猛攻をくらった里村だったが、試合時間が残り2分に迫ると反撃開始。アジャが一斗缶で後輩たちを殴りつけると橋本に裏拳を決めた。最後はアジャが橋本を羽交い締めにする中、里村がスコーピオライジングをズバリ。だが、技を繰り出した瞬間に時間切れ終了となり引き分けに終わった。

 試合後にはアジャから「里村明衣子…やっぱりお前は横にいると気が合わない。だから続きは来世だ。でもお前は仙女を率いていろんなヤツを世に送り出していくんだろ? だったら俺はまだお前との勝負は終わってないと思ってる。お前が送り込んでくる奴は全員俺がこのリングでぶっ飛ばし続けるよ」と宣戦布告され「俺がここまで生き残ったのはお前の責任だからな! お前がアジャコングをここまで生かし続けたんだ。だからどんどん面白いヤツをこのリングに送り込め! 仙女が世界でトップになるまで俺は付き合うよ!」と抱きしめられた。

 里村は1995年4月15日にカリスマ・長与千種率いる「ガイア・ジャパン」旗揚げ戦(後楽園)でデビュー。2005年のガイア解散後旗揚げした仙女をエースとして軌道に乗せると、13年度の「プロレス大賞」女子プロレス大賞を初受賞を果たした。さらにWWEからも実力と手腕が認められ、19年5月からはNXTの女子部門臨時コーチに就任し、21年1月にWWEと契約。日本だけではなく世界中で名勝負を生み出してきた。

 セレモニー後、涙を流しながらバックステージに現れた里村は「1番最初にアジャコングと向き合った時は本当に怖かったんですけど、今日こうやって最後まで戦えた…逃げなくてよかったなって思います。次の投げのステージも逃げないです。やり切ります」と前向きに語った。

 女子プロ界の横綱の今後から目が離せない。