女子プロレス「スターダム」の27日横浜アリーナ大会でワールド王者・上谷沙弥(28)との敗者引退マッチで敗れた中野たむが、約9年間のレスラー人生に終止符を打った。プロレスを通じて多くのファンや仲間に愛され、団体を引っ張ってきた立役者の引退に涙を流すファンもいた。人生全てをかけてでも中野が貫き通したかった美学とは…。

 因縁のライバル・上谷と同王座と引退をかけ激突。得意技を連発し王者にくらいついたが、26分9秒の激闘の末、自身の必殺技「トワイライトドリーム」をくらい3カウントを聞いた。

 中野はマイクを持つと「全員たむのこと一生忘れちゃダメだからね」とファンに呼びかけ上谷の肩を借りて退場した。体はボロボロながらもどこかすがすがしい表情を浮かべ「全力を尽くして負けたので、後悔はない。自分の思いはリングに全て置いてきました。でも一生中野たむを忘れないで愛し続けてほしい。私のことを一生引きずってほしい」と語った。

 女優を目指していた中野はアイドル活動を経て2016年7月にアクトレスガールズ新木場大会でプロレスデビュー。翌年6月に退団すると、スターダムに参戦を直訴し同年11月に入団した。

入場する中野たむ
入場する中野たむ

 中野がアイドル時代から成し遂げたかった美学は「誰かの一番になること」だったが、プロレスラーになり「人の消えない記憶になること」に変わった。

「アイドル時代には7回もプロデューサーに見限られて自分を全否定された気がしたけど、プロレスラーになってたくさんのファンに応援してもらった。でも上には上がって最終的にはアントニオ猪木さんとかジャイアント馬場さんみたいな『あの時はすごかった』って一生言われ続ける存在になりたいって思った。横アリに来てくれた人の中で中野たむはスターだって思ってくれるんだったら、みんなの心の中に一生生き続けたい」

 そう思わせてくれたのは米WWEで活躍する宿敵・ジュリアの存在。ベルトをかけ、髪をかけ何度も戦い、引退試合には名乗りを上げられたライバルから大会前日に連絡があったという。「ジュリアから『私以外の女に引退させられんじゃねえ。どこにいても飛んでいくって言っただろ。忘れんな』ってXのDMが届いたのに…。かなわないままになっちゃった。でも約束が果たされないままいなくなっちゃうから、ジュリアにとっても一生忘れられない女になったんじゃないかな」と悔しい表情を浮かべた。

 23年4月には団体最高峰ワールド王座を手にし、翌月にはワンダーとの2冠王者に君臨。同年のプロレス大賞で女子プロレス大賞を受賞した実力者が業界からはいなくなるが魂は消えない。

「たむがいなくなっても、コズミック・エンジェルズのみんながプロレス界の全盛期をつくってくれるはず。さくら(あや)はたむのスープレックスを継ぎ、玖麗(さやか)はスターダムドリームを継いだ。大丈夫です。そして上谷はたむの呪いを背負ったんだから、これからたむが果たせなかったことを、上谷が全部成し遂げてくれなきゃ困る」

 気になる今後については「普通の女の子に戻ります」と語るにとどめたが「生まれ変わってもプロレスラー中野たむになりたい。たむは宇宙一の幸せものです」。宇宙一かわいいアイドルレスラーは心の中で生き続ける。

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