広島・森下暢仁投手(27)の「魂の投球」が光った。今季2試合目の先発となった4日のDeNA戦(マツダ)で8回を108球、4安打無四球2失点の快投。チームは8―2で快勝し連敗を2で止め、自らも今季初勝利を挙げた。

 プロ初の大役を任された開幕阪神戦(28日・マツダ)の先発マウンドも7回2失点の好投。しかしながら初回に浴びた佐藤輝の先制2ランが致命傷となり、白星は呼び込めなかった。

 この日も3回に牧の先制2ランを浴びて先にリードを与えたが、4回に打線が3点を奪って逆転後は「もうこれ以上、点数はやれないなという気持ち」とギアを引き上げ、文字通りの〝エンジン全開〟。最速148キロの直球にカーブ、カットボール、チェンジアップなど変化球もきっちりと操り、DeNA打線を完璧に封じた。

 新井貴浩監督(48)から「チームを引っ張ってみろ!」とエースの働きを期待される6年目。その期待に応えるべく公式戦開幕を見据え、昨季までにはない〝新球マスター〟にも取り組んできた。その球種とは、140キロ台の高速カットボールだ。

 この日最速148キロを記録した直球、130キロ中盤のカットボール、同前半のチェンジアップ、110キロ台のカーブを主な持ち球として操る中、球速帯で照らし合わせても同様の球種はなく、さらにこれまで投げてきたカットボールのように「横」ではなく「縦」に変化するのが特徴だ。新球種については、日ごろから森下の球を受けるブルペン捕手も思わず苦笑いを浮かべながら「落差があり、フォークかスプリットにも見える。球種の名前? スプリットカット」と驚くほどにキレも落差もあるという。

 新井監督から「開幕」を告げられた2日後の2月24日。新球種をブルペンで23球、初めて自軍打者を相手に投じた。以降のオープン戦でも「空振りを取ること」を理想とし、ヤクルト・村上やロッテ・ソトなど球界の強打者を相手にウイニング・ショットとして試投。28日の開幕戦では初回に被弾した後の佐藤輝に対し、6回の3打席目の勝負球として用いると一ゴロに仕留めた。

 そして、この日のDeNA戦でも3―2と逆転後の5回に相手リードオフマン・梶原を遊直で料理するなど要所での「武器」として順調に精度を高めつつある。

 今季初勝利を手にした森下は「ここから勢いつけて、さらに勝っていきたい」と前を見据えた。現状維持ではなく自らにも「進化」を取り入れ、キャリアハイを公言する勝負の年に臨んでいる。