【渡辺ありさの界隈ウォッチ】ミス東スポ2022でフリーライターの渡辺ありさがさまざまな界隈をウオッチする当連載。今回はたびたびニュースになり、社会問題にもなっている「トー横界隈」をお届けします。いったい、なぜ一部の若者たちはこのエリアに集うのでしょうか。そこでトー横の取材を行い、事情に詳しいライターのツマミ具依(ぐい)さんに話を聞きました。
――なぜ、トー横に
ツマミ具依 トー横に集まる若者は、自宅から来る「通い組」と、新宿のホテルやネカフェで寝泊まりする「家出組」に分かれると思います。通い組は過干渉や教育虐待を受けている子が多く、学校生活に悩んでいる子もいる。一方の家出組は身体的虐待やネグレクトで家に帰れない子がほとんどで、深刻度にはグラデーションがありますが、みんな“居場所”を求めて来ているというのは共通します。
――トー横に行こうと思うきっかけは
ツマミ具依 SNSにリスカ(リストカット)やOD(オーバードーズ)の写真を載せる「病み垢」を通じてトー横界隈を知り、同じ境遇の人と話したいと思って行く子が多いです。でも、家出組の中には、離婚した親が半グレやホストだったという子供もいて「歌舞伎町にいれば父親に会えるかも」という動機でトー横をさまよっている子もいます。
――家出組はどうやって生活している
ツマミ具依 女の子は主にパパ活。界隈では“案件”と呼ばれています。男の子は、女の子が案件で稼いだお金を貢いでもらったり、犯罪に走る子も少なくない印象です。界隈の中でミニホスト的なことも行われていて、そのために立ちんぼを始める女の子もいます。
――未成年が立ちんぼを
ツマミ具依 高校生くらいの子が18歳と偽って体を売るのは、よくある光景です。12歳の子が立っていたこともあるようです。また、立ちんぼを買うのではなく、トー横に自ら足を運んで未成年の子と直接交渉する男もいます。
――性搾取目的でトー横に来る大人は多いのか
ツマミ具依 先日もトー横支援をうたう団体の代表者が逮捕されました。彼は2022年に同じく未成年淫行で逮捕された“トー横のハウル”が代表を務めていた自警団「歌舞伎町卍会」の幹部でした。両者とも、最初は子供たちを救う気持ちが少なからずあったと信じたい。でも、トー横は未成年に手を出すハードルが低く、そういう方向に流れてしまった。
――被害を食い止めるのは難しい
ツマミ具依 性被害に遭っても、未成年が被害届を出すと親に連絡されるため泣き寝入りになる場合が多いです。すると今度は(事情を耳にした)反グレが出てきて、加害者を暴力でこらしめ、別の事件に発展するという悪循環まで生まれている。とはいえ23年12月に「シネシティ広場」(トー横)の封鎖によっていたずらに界隈の規模が拡大しなくなったので、大きな事件は減った印象です。
――封鎖後、トー横の子供たちはどこへ
ツマミ具依 今も周辺にたむろしていますが、聖地と化していた広場がなくなり、人口は減っています。また、トー横対策として都が「きみまも」という施設を立ち上げたので、そこに収まる子はそっちに移動しました。しかし、この施設もできることに限界があって。
――限界とは
ツマミ具依 法律的な事情もあり午後9時までしか滞在できず、利用登録のために原則として身分証が必要。この時点で一番危険な深夜の時間帯は回避できず、身分証提示に抵抗がある子は使えない。また、抜き打ちで警察が来て補導されたという子もいました。取り締まりの動きが強いと、子供たちが利用しづらくなってしまう。その点はNPOなどのほうが柔軟ですが、先述した代表者の例もあるように危険な人物が紛れ込む可能性もあるので、一長一短ですね。
――トー横界隈の子供たちに必要な支援は
ツマミ具依 彼らには、夜に安心して眠ることができる、家じゃない居場所が必要です。宿泊可能な「こども若者シェルター」を行政が作ろうとしているので期待したいです。トー横は犯罪が横行する危険な場所だけど、子供たちはそこに何かしらの救いを求めてやって来る。彼らがトー横に来た後、どうケアするかが重要だと思います。
☆つまみ・ぐい フリーライター。10年前から東京・新宿歌舞伎町のバーで働き、ライターとしてアングラ系を中心に執筆。「X」は【@tsumami_gui_】。













