有言実行の走りだった。陸上の東京マラソン(2日、東京都庁前発~東京駅前着)で、男子は新星の市山翼(28=サンベルクス)が2時間6分00秒で日本人トップの10位に入った。世界選手権(9月、東京)の参加標準記録(2時間6分30秒)を突破し、日の丸を背負う可能性も出てきた。

 普段は所属先が展開するスーパーマーケット「ベルクス」草加青柳店のグロサリー部で週4日ほど勤務。本紙の取材に応じた同僚は「非常にまじめで芯が通っている子」と印象を語る。品出し業務は基本的に火曜と日曜が多忙だそうで、市山はきっちり開店時間まで品出しを終わらせるという。同僚は「物量が多いと時間がかかったりするけど、必ず時間内に終わらせるんだという意思を感じるし、人の手を使わずに一人で終わらすことができる」と妥協なき姿勢を明かした。

 そんな市山は東京マラソンの出場が決まった直後、同僚が「今回はどれくらい(の順位を)狙うの?」と聞いたところ「日本人トップを狙う」と宣言。この日は序盤から自らのペースでピッチを刻み、終盤に日本歴代2位の記録を持つ池田耀平(花王)らをとらえた。言葉通りのパフォーマンスには同僚も「びっくりしている。本当に(日本人トップを)取ってくるので大した子だなと思った」と目を丸くした。

 エリート街道を歩んできたわけではない。それでも、業務でも生かされる愚直さで道を切り開いた市山は「他のランナーの憧れになることが陸上人生の目標。タイムよりも熱いレースができることが自分の成功だと思っている」。東京の地での激走劇は、強烈なインパクトを残した。