ソフトバンクの16日の宮崎キャンプ(生目)で異例の光景が繰り広げられた。球団発表によると、この日の来場者は1万6200人。週末のキャンプの目玉である紅白戦が予定されていたが、あいにくの雨で中止となり、鷹ナインのアピール合戦を楽しみにしていたファンの間からは落胆の声が漏れた。

 時差練習となったこの日は、主力どころが多くそろうA組が午前、若手中心のB組が午後から始動。練習スペースの問題もあって主力選手が早めに練習を切り上げ、日曜日ということもあって時計の針が進むに連れて多くのファンが帰路に就いた。

ブルペン観覧席は夕方になっても盛況だった
ブルペン観覧席は夕方になっても盛況だった

 そんな中、午後4時を迎えたブルペンの観覧席が満員に…。ファンの視線の先にいたのは、ネットスローを黙々と行う板東湧梧投手(29)だった。昨季一軍登板なしに終わった7年目右腕が「背水のシーズン。今年ダメなら終わり」と強い覚悟で一心不乱に腕を振っていた。

 入団2年目から一軍に定着し、端正な顔立ちも手伝って人気を集めた。今春、二人三脚で復活を後押しする倉野チーフ投手コーチは「この2年でどうズレたのかを含めて分析しながら、もともと持っている力を最大限出せるようにやっている。大事な戦力。早く復調してもらわないと困る」と、この日もマンツーマンで練習を見守った。

 観覧席の定員が100人ほどとはいえ、選手とコーチの2人だけで静まり返ったブルペンを、満員のファンが私語もなく見守る光景は異様そのもの。チーム関係者らも「今季にかける板東への期待値。この時間に異例ですね」と口をそろえた。

 板東は練習後「たくさんの方に来ていただいてるなとは思いました。やっぱり、見てもらえなくなったら終わりですし、注目されなくなったら終わり。本当に励みでしかないです」と感謝。人気先行とは言わせない。静かに闘志を燃やしている。