ソフトバンクの王貞治球団会長(84)が春季キャンプ(生目の杜運動公園)第3クールの11日、1次視察を終えて宮崎を離れた。この日は大砲候補のリチャード、笹川らの打撃練習を熱心に見守り「ここからは一喜一憂する日が始まるね」と実戦形式の練習が増える今後のアピールを期待して機上の人となった。
「飛躍するきっかけをつかんでほしい」――。あの手この手で王会長は選手たちに気づきを与えてきた。この春は第2クール最終日に、選手が宿舎に戻ると机の上に一冊の本が置かれていたという。1日16時間ほどかけて48キロの険しい山道を1000日間歩き続ける荒行「千日回峰行」の満行者である大阿闍梨・塩沼亮潤氏の著書だった。
「すごく良い本でね。選手である前に人として、当たり前のことを当たり前にやることは難しい。でも、それを愚直にやり続けることで何かをやり遂げることができる。春は時間がたくさんあるから、寝る前に手に取ったりして何か感じるものがあればと思ってね」(王会長)
贈られた本は「くらしの塩かげん」(世界文化社)で、小久保監督も「全員に贈っていただいた」と感謝。宮崎キャンプに参加しているS~B組の全選手、首脳陣、城島CBOらフロント幹部に計100冊以上が届けられたという。今春は「小久保、城島体制になって、和田も(アドバイザーとして)入ってくれたし、そういう世代がリードしていくから見守らせてもらうよ」と語っているように一歩引いたところからチームの動きを支えているが、王会長らしい愛情のこもった贈り物だった。
この日の練習中、王会長を見つけてお礼を伝える柳田悠岐外野手(36)の姿があった。「彼は本当に律義だよね。柳田くらいの選手になると読む必要はないのかもしれないけど、わざわざお礼に来てくれたね」(王会長)。根底にあるのは「出会ったすべての選手が才能を開花させて、1年でも長くユニホームを着続けてほしい」という親心。メッセージはしっかりと伝わっている。












