【球界こぼれ話】「球威不足を補う投球術を早期に身に付けられるかが成功のカギ」

 今季カブスに加入した今永昇太投手(30)にMLBの現場ではこんな声がささやかれている。

 先発ローテーションの一角として期待を背負う左腕は日本時間3日のドジャースとのオープン戦でメジャー初登板を果たした。だが、2回に3ランを被弾。その後連続三振を奪ったものの結局、3回途中3安打3失点、5奪三振という不満の残る内容に終わった。2度目のオープン戦登板となった9日マリナーズ戦でも3回を投げ1本塁打を含む4安打2失点。5三振を奪い初勝利を飾ったとはいえ完璧な投球とはいかなかった。

 日本ではプロ8年で64勝(50敗)を挙げ、昨春のWBCでも決勝の米国戦に先発するなど3試合に登板し、計6回で7三振を奪った。この実績を引っ提げて海を渡った今永だが、ここ2試合は不本意な投球が続く。日本や国際大会での実績は十分にもかかわらず、なぜ思うような投球ができないのか。要因の1つが冒頭でも挙げた「球威」といわれている。

 昨季、メジャーにおける直球の平均球速は94・2マイル(151・6キロ)だった。他方、今永は92マイル(約148キロ)ほど。わずか3~4キロの違いだが、この差は意外に大きい。メジャーでは150キロ以下の直球は比較的容易に痛打される傾向にあるからだ。3日の試合で今永が被弾したボールも93マイル(約150キロ)直球だった。この現実を理解しながら相手打者を封じ込める必要があるのだから、今永が越えるべきハードルは予想以上に高いといえる。

 もっとも本人はすでにこの試練を乗り越えるべく試行錯誤を続けている。3日の試合後には、自身の直球について「ストレートは走っていたつもりではいたんですけど、ああいうふうに(本塁打として)はじき返されてしまったので。しっかり変えなければいけない」と猛省。その上で「こっちの平均球速は速い。生き残るためにはその人たち(メジャー投手)を上回ろうとするんじゃなくて、どこか異ならなければいけない。何かタイミングが合わないとか、そういうところで勝負しないと生き残れない」と厳しい表情ながらも課題克服に意欲をのぞかせていた。

 まだシーズン開幕まで時間はある。力感のないフォーム習得で相手打者の目を惑わすのか。変化球を交えた配球で翻弄するのか。「投げる哲学者」の異名を持つ今永。その進化と躍進に期待したい。