サッカー日本代表の地上波放送は今後どうなっていくのか。1~2月に開催されたアジアカップ(カタール)では、動画配信サービス「DAZN」が全試合を中継する一方で、テレビ朝日による地上波の放送は森保ジャパン中継が5試合中わずか2試合という異例の事態となり、注目の的に。代表戦の地上波放送が減少する現状に、元日本代表MF前園真聖氏(50)が警鐘を鳴らした。
今回のアジアカップは、MF三笘薫(ブライトン)やMF久保建英(レアル・ソシエダード)らを擁して〝史上最強〟と称される日本代表への関心が高かった。
しかし地上波では、森保ジャパンの1次リーグが放送されたのは1月19日のイラク戦のみ。決勝トーナメントは日本が進出した場合に限り準々決勝以降の試合を中継する予定だったが、8強でイランに敗退したため、計2試合しか放送されなかった。アジア最高峰の舞台で日本代表の試合が3試合もDAZN独占配信となったことで、大きな反響を呼んだ。
前園氏は代表戦の放送を巡る状況について「放映権の高騰は今までの流れを見てもあります。今回もDAZNが配信しましたが、地上波でもDAZNから放映権を買えば契約できるので、そこで買うか買わないかの判断になります。そして、それだけの価値があるのか、どれだけ注目されるのかをテレビ局は見ます。でも買わないということは、そうじゃないということになります。こうした状況は、シビアに受け止めないといけないでしょう」と分析した。
ドル箱のはずだった日本代表戦も、近年は放映権料の高騰などによって中継環境が激変。特に最近では、昨年11月21日に行われた森保ジャパンの2026年北中米W杯アジア2次予選の敵地でのシリア戦(サウジアラビア・ジッダ)が、ギリギリまで交渉が続けられながら折り合いがつかず、国内での中継や配信が一切行われない異例の事態となった。
こうした厳しい実情に前園氏は「現実的に見ると、少しサッカーに関心がない部分はあるのかなと思います。地上波で放送されないと試合のことを知らないし、情報さえ入らないという人もいます」と懸念。熱心なファンやサポーターは有料配信で視聴するが、子供たちやライト層などのファンを拡大するためには地上波での放送が重要になるからだ。
さらに「いろんなスポーツがそうなってきています。五輪競技なども含めて、スポーツ離れは深刻です。全体で考えないといけない問題でしょう」と警鐘を鳴らす。
解決策の一つとなりえるのがユニバーサル・アクセス権だ。「英国ではイングランド代表戦が無料で放送されるなど、法整備がなされています。日本でも、代表戦は誰もが見られるようにしないといけないのではと思います」と前園氏は指摘。有料配信の進む英国では、国民的スポーツやイベントをテレビ中継で視聴可能にして、有料放送による独占中継を規制している。同様の規制は欧州各国にも広がっており、日本でも政府が検討に乗り出すべきだと提言した。
代表戦の放送を巡る議論は今後活発化しそうだ。











