【アリゾナ州グレンデール19日(日本時間20日)発】ドジャースの大谷翔平投手(29)が今キャンプ初となる実戦形式の打撃練習ライブBPで打席に立ち、3打席目に“移籍初アーチ”を反重力弾でバックスクリーン右に運んだ。ここまで3度の屋外でのフリー打撃では柵越えを連発して規格外ぶりを発揮していたが、実際の投手との対戦は昨年9月3日以来だった。そんな中での豪快弾に周囲も驚がくするばかり。韓国・ソウルで行われる3月20日のパドレスとの開幕戦出場にまた、一歩前進した。

3打席目に弾丸ライナーで中堅右へ叩き込んだ
3打席目に弾丸ライナーで中堅右へ叩き込んだ

 報道陣に発表された練習メニューでは大谷がライブBPに参加することが記載されていた。だが、ここまで何度も実戦形式の打撃練習を「キャンセル」しているだけに、周囲は「本当にやるのか」と半信半疑だった。午前10時30分過ぎにロバーツ監督が「ショウヘイは今日、ライブBPに入る」と明言。その言葉どおり午前11時45分、大谷がバット持参でメイン球場に姿を現した。

 200人を超える大勢のファンが歓声を上げ見守る中、最初に対戦したのは2017年に広島でプレー経験のある右腕ブレージャーだった。実戦の打席で投手の生きたボールと対戦するのは昨年9月3日のアスレチックス戦以来、169日ぶりだ。ただ、この打席は“目慣らし”だったのか、一度もバットを振ることなく5球で交代。ファンからは思わずため息が漏れた。

 続く第2打席の相手は21年に72試合の登板で32ホールドをマークしたベテラン右腕トライネン。初球に初めてバットをフルスイングすると自打球が右ヒザ付近を直撃。思わず「アイッ!」と大声で叫び見守った球団関係者らを震え上がらせたが、幸い大事に至らずその後も打撃続行に。結局、カウント2―2からの5球目変化球を捉えられず空振り三振に終わった。

 このまま快音なく終わるのか。誰もが諦めかけた3打席目に待望の瞬間が訪れた。マウンドは3人目の右腕ファイアライゼンだ。ボール3つとファウル、ストライクでフルカウントの6球目だった。

 真ん中高めの直球を強振すると破壊音を発したライナーは低い弾道で中堅へ。打った瞬間は右中間を破ると思われたが、重力を無視して失速することなくバックスクリーン右のフェンスを越えた。推定飛距離は125メートルだ。規格外の“移籍1号”に見守ったファンから「オーッ!」と大歓声、ナイン、球団関係者はただ驚くしかなかった。

 打たれたファイアライゼンは「正直どんな球を投げたか覚えていない。ど真ん中だったんじゃないかな。だから、あれだけ飛んだんだよね」と脱帽。

 さらに「素晴らしかったよ。今日は楽しかった。彼が健康で打席に立ち、バットを振るのを見るのはうれしかった。ご存じのようにホームランを打っていたしね、いいことだよね」と移籍1号を被弾してむしろ喜んでいた。

 大谷はこれまで屋外でのフリー打撃を3度行い、いずれも柵越えを連発していたが、ライブBPは回避していた。ロバーツ監督も「本人が自分の体のことは一番理解しているから」。自己流調整を容認してきた。ついに臨んだ実戦形式での打撃練習で一振り回答、心配無用ということだ。

 右ヒジのリハビリ過程にありながら打者として順調な大谷。韓国・ソウルで3月20日に行われるパドレスとの開幕戦に間に合いそうだ。熱狂の24年シーズンが待ちきれない。 

【メジャー464発男も絶賛】メジャー通算464本塁打で今季からドジャースのアドバイザー役を務めるネルソン・クルーズ氏(43)が大谷の初ライブBPを絶賛した。

「状態は良さそうだったね。最初の打席で投球を確認する時間に使い、スイングできる、振っても大丈夫という感覚になったんだろうね。最初のスイングからとてもアグレッシブだったし、彼が最も得意とするホームランを打つこともできた」。自身の現役時代はライブBPの2日目で振ることが多かったといい、「大谷が今日振ったのは、彼が準備ができているということだろうね」とうなずいていた。最後は「大谷ほどの才能にアドバイスできることなんて一つもないよ」と笑った。