ソフトバンクが打撃練習用の超ハイテクマシン「トラジェクトアーク」の導入を本格検討していることが30日までに分かった。

 これまで高性能弾道測定器「トラックマン」で集積した速度や回転数、変化量などのデータを入力して使う「アイピッチ」では再現が難しかった精緻な軌道までを完全コピーできる最新鋭マシンだ。昨季MLBで日本人初となる本塁打王を獲得した大谷翔平(ドジャース)の偉業を後押ししたことでも知られている。

 孫正義オーナー率いる世界的IT企業を親会社とする球団は「最先端テクノロジーを取り入れた指導」を指針の一つとしている。「トラジェクトアーク」導入はその一環とも言えるが、大谷の成果が最大の決め手となった。

 球団幹部の一人は「メジャー球団や、あの大谷選手も練習で効果的に活用されているマシン」と具体名を挙げるほど。打者・大谷は目慣らしで球筋をチェックして、イメージを膨らませるアプローチで本塁打量産につなげた。視覚的情報をインプットするだけでも、パフォーマンス向上の一助となることを証明。大谷本人がその有効性を認めていることが本格導入を進める要因となった。

 従来は正確な軌道の再現が不可能とされてきたが、ジャイロ成分の取り込みに成功したことで、今後はデータさえそろえば再現できない球種はないと言っても過言ではない。投手の映像を流してタイミングを計ると同時に、セットポジション時の対応、リリースポイントの調整なども可能。ペイペイドームと二軍本拠地のタマスタ筑後はトラックマンやホークアイを常備しており、NPB所属投手のほとんどを網羅できそうだ。

 球界初の四軍制を敷く球団は、まず筑後ファーム施設への先行導入を検討しているとみられ、これまで以上に育成拠点の最新鋭化を進める。業界関係者によれば、カナダのトラジェクト・スポーツ社との契約は「破格の投資」という。MLBではレッドソックスやメッツ、カブスなどの名門球団が続々と導入済み。孫オーナーの大号令で世界標準、世界一を目指す鷹が、お家芸の最先端アプローチで新風を吹き込む。