西武に6年ぶりに復帰した炭谷銀仁朗捕手(36)の〝マルチアングル〟がチームを活性化させている。

 南郷キャンプは折り返しを過ぎ、いよいよ16日の第3クールからは実戦形式が加わってくる。古巣とはいえ、ブランクがある炭谷は連日ブルペンに足を運び、不在だった5年間で一新された投手陣の特徴を把握しようと積極的にコミュニケーションを図っている。

 その炭谷が投手に話しかける際の枕ことばは「相手目線から見ると~」という〝敵目線〟からの指摘だ。昨季までは楽天に在籍。対戦相手として打席で実際に球がどう見えていたのかなど、必要に応じて個々の投手に伝えている。

 これに野田バッテリーコーチは「外から見た自分たちの情報というのはなかなか聞けるものではない。それが本当に客観的な意見であったり、また銀仁朗の場合は主観も交えて話せる」と言い「今の選手は対戦相手に話を聞いたりもする。でも、対戦相手だからウソもあるかもしれない。そのライバルが今度は(チームの)中に入って来た。このチームを良くしていこうという意味でいい話が聞けると思う。僕もちょっと聞きたい部分がある」と着目している。

 昨季が大卒2年目で47試合の登板で18ホールド、防御率2・50をマークした佐藤隼も、炭谷の言葉に救われた一人だ。左腕は筑波大2年時に左ヒジを痛め、宝刀だったスライダーへの自信を失いかけていたという。しかし、そのスライダーの使い方について「『楽天の時からもっと左打者に放っておけばと思っていた』と相手目線でおっしゃっていただいた」と勇気づけられている。

 帰ってきた銀仁朗の〝マルチアングル〟が早くも無形の効力を発揮し始めている。