【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#554】UMAには、その得体の知れなさや不気味さから人々に不安をもたらすような存在も珍しくはない。中には人間に直接危害を加えたと言われるような恐ろしい存在もいるのだ。UMA図鑑では過去に、インドのニューデリーで猛威をふるった「モンキーマン(第14回)」や、米ウェストバージニア州で目撃が相次ぎ高架橋を崩落させた「モスマン(第3回)」などを紹介した。今回ご紹介する「マラウイ・テラー・ビースト」は特に凶暴性が強いUMAである。

 マラウイ・テラー・ビーストは、2003年初頭にアフリカ南東部のマラウイ共和国の農村部で大きな被害をもたらした謎の生物だ。首都リロングウェから北へおよそ100キロの地点にあるドーワ県で、多くの住民が正体不明の生物に襲われる事件が発生した。高齢の女性や赤ん坊など3人が死亡し、それらの遺体は頭蓋骨を完全に押しつぶされ、腸と陰部が食い荒らされていたという。

 襲撃から生き残った人々も無事とは言い難い状況であった。被害に遭った人々はいずれも重傷を負っており、手や足、耳や目を失った者、鼻と口をえぐられた者など、あまりに凄惨なものであった。襲撃後には、同地区周辺の村々から4000人もの人々が避難する事態となり、さらに武装した警備員や狩猟者そして軍が出動するまでに発展した。

 実は、この襲撃事件より前の2002年にも、謎の生物によって20人以上が負傷、5人が死亡するという襲撃事件が発生していたという。この生物は直後に軍事警察の手で射殺されたと言われている。

 マラウイ・テラー・ビーストと呼ばれたその生物は、狂犬病に感染したハイエナではないかと考えられた。しかしハイエナは後ろ足が短いという特徴を有しているにも関わらず、問題の生物の後ろ足はそうではなかったと目撃者から証言がなされている。一説には、その陰惨な襲い方から夜間に現れ人間の頭部を叩き割り脳髄を食らうと言われる東アフリカ・ケニアの伝承UMA「ナンディベア」と関係があるのではないかとも考えられている。

 目撃者の多くは、その生物を「自然の獣ではない」と信じて恐れた。2003年に襲撃事件が起こった際には、前年に射殺された生物が人間への復讐のために死の世界から甦ったのではないかと考える人々までいたという。実際のところ、射殺された生物がその後どういった処置がなされたか、定かにはなっていない。

 そして現在も襲撃した生物が捕獲・射殺されたという報告はなされていないのが現状だ。大惨事をもたらしたマラウイ・テラー・ビーストの行方は、今も分からないままである。