【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#551】当連載では以前「和歌山県富田の『かしゃんぼ』」を紹介した。

 2004年春、和歌山県田辺市の富田という地域の田んぼに林の方へ続く、まるで一本足で飛び跳ねているかのような一直線の謎の足跡が発見されたのだ。当地に伝わる一本足妖怪「かしゃんぼ」が現れたのではないかとして、紀伊日報などでも大々的に取り上げられるほどに話題となった。

 2度も確認されたというかしゃんぼの足跡であるが、実はこれと同じ年、全く別の場所で酷似した足跡とおぼしきものが見つかっているのである。その場所は和歌山から遠く離れた関東、千葉県船橋市である。

 04年9月20日、船橋市某所の畑上に奇妙な足跡が発見された。筆者をはじめオカルト研究家のスタッフが現場に急行したところ、その足跡はかしゃんぼのような、まるで一本足で飛び跳ねたかのように見えるものであり、一直線に蛇行を繰り返しながら畑をふらふらと横断しているように残されていた。

 計測してみると、その歩幅は14~15センチメートルほどで、また足跡の直径は12~13センチメートルほどであった。富田のかしゃんぼと比べると足の直径はやや小さく、また歩幅については4分の1ほどに狭いことが分かった。

 船橋市では、タヌキや野犬の目撃がまれに報告されることがあるため、それらの足跡ではないかとも推測されたが、野生動物の足跡が一直線につくというのはどうも考えにくい。中には、キツネではないかとの指摘もあった。実は、キツネには一直線に足跡を付ける独特の歩行の仕方があるのだ。これは、前足跡に後足を重ねて歩くためにできるものであり、獲物を狙う際に見られる歩き方で、特に雪上で見られることが多い。

 それではキツネだったのではないかと思われるだろうが、これにも疑問が残る。発見された足跡が、キツネのものとしては妙に大きすぎるのである。何より最大の問題は、戦後船橋市でキツネの目撃報告が全く聞かれていないということだ。これらのことから、一本足の正体としてキツネの可能性も考えにくいと言わざるを得ないだろう。

 関係があるかは不明であるが、興味深い話がある。千葉市には姫塚、通称「七廻り塚」と呼ばれる市内最古かつ最大規模の円墳が存在している。この七廻り塚は片足跳びで塚の周囲を七回まわると塚の中から機織りの音が聞こえてくると恐れられ、さらに現代では片手片足の血まみれの女が現れるという風に内容が進化しているそうだ。片足、すなわち一本足とも考えられなくはないこの奇妙な符号は果たして関係あるのだろうか。