これは“神隠し”か、それとも…。福岡県行橋市にある正八幡宮で、ケガで保護されていたフクロウの仲間であるアオバズク1羽が謎の失踪を遂げた。6日夜の給餌の時に見られたのを最後に、翌朝にはこつぜんと姿を消していたという。重さ約20キロほどのケージで保護されていたというが、一体、どこへ消えたのか? 追跡取材すると何者かに連れ去られた可能性が高そうだ。

“神隠し”に遭ってしまったのは、体長がラグビーボールほどのアオバズク。日本では初夏のころに東南アジアから渡ってきて、子育てをする渡り鳥だ。

 正八幡宮では70年ほど前から境内の大きな御神木にやってきて、毎年子育てをして数多くのひなが巣立っている。近所の住人ばかりか、県外の人にも「アオバズクがいる神社」として認知されているほど。今年も例年のように東南アジアから渡ってきてつがいになり、卵を産んで2羽のひなが生まれていた。

 神社の関係者によれば「ひな2羽がすくすくと順調に育っていた」というが、「途中から親鳥が全く姿を見せなくなり、残されたひなは1羽がカラスにやられて右目を負傷。木から落下していたので何度も木に戻したが、どうしても落下してしまうのでケージのなかで保護していた」という。この1羽がいなくなった。

 ケージは市販のものをいくつも継ぎ足して作っていたそうで、拡張することを念頭に底面はあえて作らず、コンクリートの上のアオバズクに上からかぶせる形で保護していた。ただし重さは20キロほどあり、野生の小動物や犬猫がケージをズラして襲うことは現実的ではないという。

 では一体、アオバズクが姿を消した原因は何なのか? 境内に設置した防犯カメラに、そのヒントが映っていたという。

「ふだん夜は境内に人けがないが、いなくなった6日夜から7日朝までの間に怪しい人影が映っていた。ただ、保護ケージを置いていた場所は防犯カメラの撮影範囲外。決定的な証拠はなく、必ずしも映っていた人が“誘拐”したとは断言できない…」(前出の関係者)

 神社では過去にも境内で飼っていたニワトリ5羽が一夜のうちに姿を消したことがあるという。周辺は住宅街で野犬などがいる場所ではなく、今回のアオバズクの件も含めて、人為的な可能性は否定できないという。
 そんななか、こんな見立てもある。

「アオバズクに限らずフクロウ類は全般的にペットとして人気。最近は“フクロウカフェ”などもあって需要がある。需要があれば供給する者がいるわけで、違法にフクロウを捕まえて売る闇業者も存在する。とはいえフクロウ類を捕まえるのは簡単ではない。だから、簡単に捕まえられる有名繁殖地のひなは狙われやすい」(野生生物に詳しいNPO関係者)

 古くから鳥を密猟して売りさばく闇業者は存在していた。最近は、末端暴力団員らの間でもシノギのひとつとして横行している。特に最近の暴力団は、収入源が断たれて懐具合が厳しく、鳥に限らずカネになりそうな野生生物は、何でも密猟して現金化しているのが現状だ。

 果たしてNPO関係者が見立てるように販売目的の闇業者にアオバズクは“誘拐”されてしまったのか? それとも人知を超えた“神隠し”に遭ってしまったのか?

 70年以上にわたってアオバズクを見守ってきた正八幡宮が、不可解な謎に揺れている。