巨人——それは人間をはるかに超える大きさを持った人型の生物。古くはギリシャ神話に出てくる神々に戦いを挑んだ「ギガンテス族」や巨大な体を持つ神「タイタン」など伝承の中にも出てくる存在である。
特に様々な妖精や怪物が登場する北欧神話において、巨人とは神々と相対する存在で、強大で破壊的な力を持ち、醜い存在として描かれた。人間にとって畏怖の対象であった「自然」を象徴するかのような存在である。
旧約聖書にも「ネフィリム」という「天から落ちてきた者たち」という意味の巨人族がいる。神と人間の女の間に生まれた生き物だ。
決して西洋文化だけの存在ではなく、中国では宇宙をつくる創世の神、天地開闢(かいびゃく)物語の主人公である盤古も巨人である。天と地がくっついていた時代に、毎日身長を伸ばして天と地を押し分けたのだ。
ちなみに中国では2億年前に存在していた超大陸である「パンゲア」、つまり今の6大陸に分かれる前の大陸を「盤古大陸」と表記する。
我が日本には妖怪ダイダラボッチの伝承が各地に残り、山や沼などの地形をつくっていったとされる。
人間にとって最高の生物である人間、その上位の存在として「大きな人間」を人間が創造してきたことが推測できる。しかし、大きな人間が実在したのではないかと思わされるモデルがあったことも否定できない。
我々の先祖である「クロマニヨン人」と共存していた「デニソワ人」はかなり身長が大きいため、「デニソワ人」を見た記憶が神話や伝説の巨人へとつながった可能性はある。
16〜18世紀にかけて、ヨーロッパ人の間で噂になっていた「パタゴン」も巨人の一種だ。人類初の世界一周を成し遂げたマゼラン探検隊の一員、アントニオ・ピガフェッタがその存在を広く知らしめた。
パタゴンは南米の南端で生活していたと言われ、現在も残る「パタゴニア地方」の語源である。
当時のイラストでは探検隊の2倍以上の大きさで描かれ、諸説あるが、身長は4〜6メートルもあると言われていた。実際のパタゴンは190センチ程度だったと、後に研究結果が出ている。
他にも19世紀末には出どころは不明だが、2メートル近い身長の巨人の全身骨格が出土し、写真も残されている。
一方で巨人という他の未確認生物と一線を画す存在はロマンが詰まっているせいか、フェイクを生み出す騒動にもなった。
1869年、ジョージ・ハルはニューヨーク州のカーディフに全長3メートルの人型の石膏像を埋め、自分でそれを掘り起こした。そして自分で「巨人の化石を掘り出した」と発表したのだ。
ハルは科学知識にたけていたわけではなく、専門家たちはすぐにフェイクだと見破ったが、話題が独り歩きして全米を騒がせた。ハル自身は無神論者で、牧師と巨人の存在について口論になり、そこで巨人の捏造を思いついたのだ。
前述の通り専門家たちには見抜かれていたが、キリスト教原理主義者の中には進化論を否定する証拠として「カーディフの巨人」を支持する者も現れた。
ハルは巨人で興行を狙ったが、最終的にうまくいかず、偽造を認める結果となった。












