東京スポーツ新聞社制定「2023年度プロレス大賞」で最優秀選手賞(MVP)を受賞した新日本プロレスのIWGP世界ヘビー級王者・内藤哲也(41)と、昨年2月に引退した武藤敬司(61)が特別対談。棚橋弘至(47)の新社長就任、オカダ・カズチカ(36)の退団とビッグニュースが続いた新日本を語る。昨年度のMVP、そして現王者としての使命感に燃える内藤に武藤が送った衝撃の“アドバイス”とは――。

 ――内藤選手から武藤さんに聞きたいことは

 内藤 引退した今もプロレスには興味ありますか? 今、誰がどうなってるのかなって気になるときはあるのかなと。

 武藤 正直ね、ノアにしても新日本にしても興味はあるんだけど、こっちから見に行こうとしないと情報が入りづらいよね、プロレス界って。そこがちょっと苦しいよな。大谷(翔平)のニュースなんて、嫌でも目に入ってくるじゃん。ああいうふうにならねえかな、なんて思ってさ。ところで棚橋社長はどうだい?

 内藤 なったばっかりだから何とも言えないですけどね。選手兼社長は俺もやったことないわけで…どうなんですかね。

 武藤 大変だよ。選手がいきなり社長なんて、普通でいったらできるわけねえんだから。でも棚橋には棚橋なりの新日本を潤わせる方法があるよな。昔の(アントニオ)猪木さんもそうだったんだよ。決まったマッチメークを社長権限でひっくり返したりとかして熱をつくり出したり。棚橋にもできるんじゃないかなって思うな。

新社長に就任した棚橋
新社長に就任した棚橋
棚橋と武藤のツーショット
棚橋と武藤のツーショット

 ――オカダが1月いっぱいで新日本を退団する

 内藤 またさらに新しいステージ、より高い位置へっていう向上心はすごいなって思うんですけど…。俺はかつて武藤さんが新日本を去ったときにすごいショックだったんですよ。なので、確かに新しいところに行ってチャレンジすることも大事なんですけど、オカダには新日本に残ってほしかったですね。

 武藤 マーケットでけえからな、向こうは。いくらオカダでも…って部分も感じさせたりするからな、米国ってとこは。そこの文化になじめるかなじめないかもあるし。

 ――2019年のAEW旗揚げ以降、日本のトップ選手が米国に行くケースがさらに増えた

 内藤 選手としてより多くのお客さまに見てもらいたいという気持ちはもちろん分かるんでね。海外に行く選手を否定することはないですけど。俺の中でその選択肢はないですかね。たとえもっと若かったとしても。

 武藤 だけど、それもいいんじゃねえの。そこから新しい競争が生まれるわけだからな。そのうち日本の優秀な若者が、新日本とか全日本とか通り越して、いきなりWWEのトライアウトを受けたりする時代が来るんじゃねえかな。

惜別…棚橋と握手するオカダ・カズチカ
惜別…棚橋と握手するオカダ・カズチカ
リングで号泣するオカダ・カズチカ
リングで号泣するオカダ・カズチカ

――では内藤選手、最後に今年の抱負を

 内藤 新年早々、新日本プロレスもいろいろなニュースが飛び交って、不安に思っているお客さまもいっぱいいることでしょう。(02年に)武藤敬司退団のニュースを聞いた当時の俺みたいな気持ちになっている方、いっぱいいると思うんですが安心してください。なんせ内藤哲也が、ロス・インゴベルナブレス・デ・ハポンがいますから。今年もプロレスを応援してくださる皆さまをさらなる高みにお連れしたいと思います。

 武藤 選手の誰がどこに行こうがさ、新日本プロレスは新しいソフトをどんどん作れるような企業になってほしいよね。もちろんベルトを持った内藤がどういうチャンピオン像を描いていくのかも重要なこと。やっぱりプロレスっていかに点から線につなげるかだから、内藤にも幅広い人間関係をいっぱい築いてほしい。そうだよ、このまま新日本だけにいたら井の中の蛙になっちゃうよ。

 ――何だか辞める方向に持っていってるように聞こえる…

 武藤 バカ、そのくらい棚橋を揺さぶった方がいいんだよ。そのくらいの方が面白いじゃん、ギャラも上がるかもしれないしさ。

 内藤 今年の契約更改、これからなんでね。「武藤さんがこう言ってましたよ」って言えば、上がりますかね?

 武藤 今なら絶対つり上がるぞ! とりあえず「オカダの分も俺が働くから」って言って、プラスアルファでオカダのギャラももらっちゃえよ。

 内藤 これ、録音してますよね? これ持って棚橋社長のところに行こうかな。いやあ、今日はいいアドバイスをもらいました(笑い)。ありがとうございました。

 武藤 おう、頑張ってくれよな。

☆…昨年度のプロレス大賞では、グレート・ムタがWWE・中邑真輔との異次元マッチ(2023年1月1日、ノア・日本武道館)で年間最高試合賞(ベストバウト)を受賞。東京スポーツ新聞社の平鍋幸治代表取締役社長からトロフィーと表彰状が代理人の武藤に授与された。中邑との名勝負は「アート」と評され「武藤敬司のプロレス界の功績もたたえ」と称賛された。目録を受け取った武藤は「ちょっと薄いな…」とボヤきつつも「グレート・ムタに渡します」と約束した。