【球界こぼれ話】今月中旬、ついに大谷翔平投手(29)のドジャース移籍が決まった。契約額はプロスポーツ史上最高となる10年総額7億ドル(当時のレートで約1015億円)。しかも受け取る金額の97%分が契約満了後の「後払い」であることが判明した。さらにドジャース加入直後からは自ら率先して戦力補強の“リクルーター”となり、手始めにレイズの右腕グラスノー獲得に貢献。条件面で「ヤンキース有利」とささやかれていた山本由伸のド軍入りにもひと役買った。

 プロ入り前から「ワールドシリーズ制覇」が目標とはいえ、こうした大谷の人間性や勝利へのこだわり。改めて驚かされるばかりだが、本人は自らの影響力を理解した上で意図的に動いているのだろうか。プロ1年目から大谷を知る日本ハムの球団関係者に聞くと「後払い契約やチーム補強に協力する姿勢はいかにも翔平らしい」と先日、こんな話をしてくれた。

「翔平は自分の行動によって周囲や仲間のやる気を高めることを常に意識している。野球はチームスポーツですから翔平一人が奮闘してもチームが勝てるわけではない。それを理解しているからこそ、自分の行動で、仲間を同じ方向に導いていくのです。今春のWBCでも『背中』で日本をけん引したし、そのやり方が一番早くチーム強化につながることも把握している。今回の動きも新天地で世界一になりたい、という気持ちの表れでしょう」

 そんな「自らの姿勢」で周囲を鼓舞する大谷。では、打撃に専念する来季はどの程度の個人目標を掲げているのか。

 前出関係者は「翔平の性格上、公言はしないでしょうが打撃部門の3冠王を狙っているはず」と指摘した上で、こう続けた。

「手術した右ヒジの回復が大前提だが、体調万全で開幕を迎えられれば打率、本塁打数はこれまで以上の数字を上回る自信はあると思う。来季は投手の負担や疲労を心配する必要がないからです。あとは打点。翔平はプロ通算11年でまだ1度しか100打点超えを記録していない。これはチーム事情や前後を打つ打者の影響もあったが、仮に来季ドジャースで有力視される2番ではなく3番起用となれば、打点はかなり期待できる。そうなれば3冠王も見えてきます。年齢と今後の二刀流継続を考えると来季が打者として3冠を狙える最初で最後の年になるかもしれませんから。世界一とともに過去最高の成績を残す可能性は十分ありますよ」

 長い歴史を誇るメジャーでも打撃3冠を達成した選手は16人しかいない。直近では2012年にミゲル・カブレラ(タイガース)が記録したが、大谷は「21世紀2人目」となる快挙達成となるのか。数々のメジャー史を塗り替えてきた男の新天地での戦い。山本との共闘を含め、やはり期待しかない。