稀代のスーパースター獲得を逃したショックは払拭できていないようだ。大谷翔平投手(29)のドジャース入りが決まり、地元ロサンゼルスは大いに沸き返っているが、対照的に一時移籍が決定的とみられていたブルージェイズの本拠地トロントにはいまだに落胆ムードが色濃く残っている。

 大谷には自らがインスタグラムでドジャース入り決断を発表した10日(同9日)の1日ほど前まで、ブルージェイズへの移籍説が取り沙汰されていた。米専門メディア「MLBネットワーク」に所属する敏腕記者のジョン・モロシ氏が発信元となって「ブルージェイズ入りの決断は間近」「ショウヘイ・オオタニはチャーター機でトロントへ向かう途中だ」などと「X」(旧ツイッター)上で投稿され続けていたが、すべて誤報であったことが判明。後に代理人のネズ・バレロ氏が「最もいい加減な報道」と苦言を呈するなど、MLBでは「過去最大級のミスリード」として汚点を残している。

 米メディア「ラリー・ブラウン・スポーツ」は19日(日本時間20日)に「ブルージェイズはショウヘイ・オオタニに〝利用〟されたのか?」とのタイトルで検証記事を掲載している。

 同メディアは「12月8日金曜日のうわさは、すべて大谷とトロント・ブルージェイズを結びつけていた。ある記者(モロシ氏)は、オオタニはブルージェイズと契約することを決めたとさえ言った。その日、オオタニはトロントに飛んでいなかっただけでなく、日本のスターは1日後にドジャースと契約すると発表した。では、何が起こったのか」と問題提起。その上で「オオタニは土壇場で気が変わったのだろうか。それとも代理人がブルージェイズの〝脅威〟を利用して、ドジャースから望みをかなえたのか。どうやらトロントの球団側は後者ではないかと考えているようだ」と指摘した。

 ちなみに米紙「ニューヨーク・ポスト」のジョン・ヘイマン記者も大谷がインスタグラムでドジャースへの移籍決断を表明した後、配信した掲載記事の中でやはり同じように「ブルージェイズはオオタニ陣営に『利用された』のではないかと考えている」との見解を示していた。

 前出の「ラリー・ブラウン・スポーツ」も同記事を参照しながら「ヘイマン氏によれば、あるライバル球団幹部はブルージェイズが利用されたことを示す最大の〝証拠〟こそオオタニが球団と面会した場所に関係していると指摘したという。事実、オオタニはフロリダ州ダンイーデンにある春季キャンプ施設でブルージェイズ側と面会した。要は、もしオオタニが本当にブルージェイズとの契約を真剣に考えているのであれば、会談はトロントで行われたはずだということだ」とあらためて紹介し「この論理はかなり正しい」と結論付けている。

 そして「トロントに加え、オオタニはサンフランシスコ・ジャイアンツとロサンゼルス・エンゼルスも検討していた。ただ最終的にオオタニ側が提示した契約にマッチしたのは1チームだけだった。オオタニは10年7億ドルの契約にサインしたが、これは繰越金を考慮すると実質10年4億6000万ドルの契約である」との言葉で締め、大谷陣営とドジャースが契約合意に至るまでの水面下の流れをつづっている。

 ただ、結局はブルージェイズ側が錯綜した誤報に振り回された揚げ句、大谷獲得を成し得なかった事実に変わりはない。実際にヘイマン記者も「あらゆる要素を精査してもブルージェイズがオオタニの希望する条件にフィットしているとは到底思えない。つまりオオタニは正しいジャッジを下したということだ」と大谷のドジャース移籍は最善の選択だったと後押ししている。いくらブルージェイズが大谷について嘆いても、それらは単なる〝負け惜しみ〟にしか聞こえないようだ。