ドジャースへの移籍が決まった大谷翔平投手(29)の〝善意〟が思わぬ論争を呼んでいる。10年総額7億ドル(約1015億円)というメガ契約は、97%に当たる6億8000万ドル(約986億円)が10年契約満了後の2034年から支払われるとされる。しかし、これが米国内では「補強費捻出のウラ技」「ぜいたく税制度からの抜け道」などと批判的な解釈も招いているのだ。
プロスポーツ史上最高額で決着した二刀流スターのドジャース入団。米メディアの報道によれば、24年から33年までの10年間に大谷が毎年受け取る年俸額は、本来の年平均7000万ドル(約101億5000万円)のうち、わずか200万ドル(約2億9000万円)。大半は年金のように契約満了後の34年から43年に支払われるという。
大谷の代理人を務めるネズ・バレロ氏は今回の「年俸繰り越し案」について米誌「スポーツ・イラストレイテッド」に、大谷から持ちかけたものだったとしている。その上で「彼のやることに驚いてはいけない。彼がやることは本当にユニークで、とてもよく考えられている」とし「スポーツ界で彼ほどのレベルに達した選手が、チームの競争力維持のために『僕におカネは必要じゃない』と本気で言える選手が他にいるかい?」と力説した。
また、大谷からこのアイデアを持ちかけられたバレロ氏は過去の事例を検証。マックス・シャーザー投手(39=レンジャーズ)がナショナルズ時代の15年に結んだ2億1000万ドルのうち、50%の支払いを繰り越した例と比較し「これ(大谷の97%)に近い契約を結んだ選手はほとんどいなかった」と強調した。
大谷は名実ともにMLBのトップ選手となっているが、現役プレーヤーとは思えぬ広い視野を持ち、組織全体への配慮も欠かさない。バレロ氏も賛辞を惜しまなかった一方で、米国内では巨額年俸の繰り越しが議論の的となっている。
現行の労使協定では、年俸を後払いする場合の金額や割合などは定められていない。しかし、理論上は多くの球団がトップ選手との大型契約に今回の手法を用いれば、先送りした〝浮いた予算〟を直ちに補強費に回すことが可能となる。資金力のある一部の球団に新たなチーム強化のアイデアを提供した形にもなっており、SNS上では「これでは何でもありじゃないか」とファンから批判的な声も上がっている。
もちろん、このアイデアを提案した大谷はドジャースへの善意からだったはず。日米球界に精通する関係者の一人は「アメリカで突然、聞き慣れない日本の価値観が提示され、米球界は今のところ消化不良を起こしている。MLBのトッププレーヤーがマイノリティー(少数派)である日本人で、おカネの評価が共通で最大の価値観となっているアメリカ人を混乱させている」と〝悪意ある解釈〟の背景を読み解いた。
大谷の入団会見は14日(日本時間15日)にも行われる予定。超異例の契約について本人の口からは語られるのか。












