オリックスが31日の阪神との日本シリーズ第3戦(甲子園)に5―4で競り勝ち、対戦成績を2勝1敗とした。6年目の育成枠出身の東晃平投手(23)が5回5安打1失点の好投で流れを渡さず、昨季から続く〝不敗神話〟を大舞台でも継続させた。今オフにエース・山本由伸投手(25)のメジャー挑戦が濃厚となっている中、東が「ポスト由伸」に急浮上。人間力も申し分ない逸材として期待されている。

 オリックスが2連覇へ一歩前に出た。先発の東は走者を背負いながらも要所を切り抜け、チームにシリーズ2勝目をもたらした。2回に1点を先制されたが、味方が追いついてくれた直後の4回には「4番・大山」「5番・佐藤輝」を連続三振に取るなど、流れを渡さない強気の投球が光った。

 6年目の苦労人は「全員の打者と勝負できていた。結構楽しめました。声援は初回はすごいと思ったけど、打者と対戦してたら気にならなかった。緊張もしなかった」とひょうひょうと話し、中嶋監督も「守備も助けてくれたし、よく投げてくれたと思う」と賛辞を贈った。

 シーズン後半からローテ入りして10試合に先発。6勝負けなしでリーグ優勝に貢献し、ポストシーズンでも〝不敗神話〟を継続している。昨年8月のプロ初勝利からこの日まで無傷の8連勝とし、育成出身の先発としては球団史上初となる日本シリーズでの勝利投手となった。

 2017年の育成入団時から背番号「128」をつけ、努力を重ねた。ケガに苦しんで一度は自由契約となったが、育成で再契約し、昨年7月に支配下登録を勝ち取った。その姿を周囲は「ものすごい努力をした男ですよ。4年間も3桁番号をつけてたら普通はもうヤバいと思うでしょう。何度くじけそうになっても諦めなかった。体も大きくし、あれだけのシュートを操れる右腕はいない。苦労をしたからメンタルも強いし、今日もマウンドで落ち着いていた」と感心するばかりだ。

 そんな東には「ポスト由伸」との声も上がっている。オフにはエース・山本のメジャー移籍が濃厚となっており、チームは大きな岐路に立たされている。現状では高卒3年目で9勝をマークした山下も候補に挙げられるが、ポストシーズンでは腰痛で離脱し、昨年に続いて体調面に不安を残す結果となっている。

 東が大舞台で好投したことでチーム関係者は「来年は開幕からローテに入ってもらわないと困る。結果も出ているし、何より人間性がいい。ファンサービスの頼みごとをしても快く引き受けてくれるし、みんなに愛されるキャラクター。支援学校の生徒とも交流している。エースはみんなに応援される存在でないといけない。由伸と似ています」と太鼓判を押している。

 有望な若手投手を抱えるオリックスだけに「誰かが出てくるだろうし、宮城もいる。みんなで穴を埋めることになるだろう」(フロント関係者)とみられているが、この日の好投でエース候補に急浮上したのは間違いない。

「この経験を来年に生かしたい」と笑顔をみせた東はどこまで進化するのか――。