〝パイオニア〟の見解は――。日大アメリカンフットボール部の違法薬物事件が混迷を深めている。関東学生連盟からはリーグ戦の出場資格を停止され、大学側もアメフト部の学生寮の閉鎖と無期限活動停止を発表するなど、事態は一向に収束する気配が見えない。そうした中、現役時代にNFLヨーロッパで活躍し、現在はパーソナルジム「JPEC TOKYO」の代表取締役を務める河口正史氏(50)が取材に応じ、一連の騒動の問題点を指摘した。

 ――今の日大アメフト部の状況について、知っていることは

 河口氏(以下、河口)ブラックボックスというか、あまりにも閉ざされている。外部の人間が知る必要がないといえばそうなのかもしれないけど、日大のOBはこぞって口を閉ざしている。それまで血気盛んに語ってた方でも、SNSに出てこない。

 ――関東学生連盟は日大の出場資格を停止し、日大もアメフト部を無期限活動停止とした。この対応について

 河口 本当に大学側の隠匿がなかったならば、スポーツ部というくくりだけの連帯責任は絶対にいらないと思う。僕は個人が罰せられるべきだと思うので、連帯責任は完全に反対派。薬物を使った本人たちが、処分を受けて終わりだと思っている。今回の処分に関して、真面目に競技を頑張ってきた人たちが、逆に大学や学生連盟を訴えたら興味深い。

 ――連帯責任が必要ないと思う理由は

 河口 部の全体で責任を求める意味がわからないから。どこで線引きするのかって話。仮に連帯責任が問われるとしたら、親やゼミの先生は責任を問われないのか。

 ――今回の日大アメフト部には、どのような処分が妥当か

 河口 犯罪を犯した子はちゃんと法の下で罰した上で、隠匿でのペナルティーを組織に科すべき。隠匿の体質を浄化した後は、リーグ戦に復帰させるべきだと思う。

日大アメフト部の学生寮
日大アメフト部の学生寮

 ――複数人が大麻を使用していたと見られる

 河口 薬物を使用していた人が何人出てこようが、個人の問題だと思います。例えば、8人ならオッケーで9人からアウトなのかって話になるし。人数は関係ないと思う。

 ――覚醒剤成分の入った錠剤が見つかったことについては

 河口 覚醒剤と大麻の間で、明確なラインはある。大麻でも日本では法律に反するからダメだけど。

 ――日大アメフト部では2018年の悪質タックル問題に続く不祥事

 河口 世の中、廃部にしろという声が大きい。日本人の典型的な、全く関係ないところまで自分の気持ちを入れて、赤の他人の芸能人の不倫を叩くのと同じだと思う。全く無関係なのに、ガヤガヤ言うのはなんなんですかね。罰するのは司法だと思うんですよね。世の中や、世論ではなくて。

 ――真面目に頑張っていたアメフト部の学生を支援してあげたい気持ちは

 河口 ごめんなさい、そこまで僕は聖人君子みたいな人間ではないので。助けてあげたいというよりも、彼らの中にフットボールを頑張って、いい就職先にたどり着きたいという思いでやっている人もいるわけじゃないですか。自分の人生計画の中で、日大アメフト部を選んでその活動の場が、一部の人のせいで閉ざされるのはどうなのかと。

 ――昨年の同志社大アメフト部員による性的暴行事件など、アメフト部の不祥事が相次いでいる

 河口 別に、大学アメフト部内で犯罪が多いわけではないのでは。人数に対しての犯罪の数で、体育会系学生が多いわけではないと思う。それが、大学スポーツという中のくくりになるから目立って、大ごとになるだけで。

 ――日大アメフト部の学生が今後、白い目で見られる可能性もある

 河口 ちょっと考えたら、その組織の中に犯罪をした人と、していない人がいるって分かるじゃないですか。SNSでも「アメフトは大麻のスポーツね」と一緒くたにしちゃう人がいる。その世の中の見方がおかしいと僕は思っている。

現在はジムを運営している河口正史氏
現在はジムを運営している河口正史氏

 ☆かわぐち・まさふみ 1973年2月19日生まれ。兵庫県出身。米サンクリメンテ高で競技を始め、立命館大卒業後にNFLヨーロッパに参戦し、3年目には「オールNFLヨーロッパ」に選出された。2002、03年にはNFLのサンフランシスコ・フォーティナイナーズのキャンプに招集され、日本人初の米国本土でのプレシーズンマッチに出場。人気テレビ番組「スポーツマンNо・1決定戦」(TBS系)でも活躍した。現在は、自身が設立したトレーニングジム「JPEC TOKYO」の代表取締役を務め、独自のトレーニングメソッドの普及に取り組んでいる。