ラグビーW杯フランス大会が8日に開幕する。日本代表は本番前の強化試合で1勝5敗と苦戦。目標に掲げる「4強以上」の達成へ若い力の台頭が不可欠となる中、期待の星として注目を集めるのが、初の代表入りを果たしたCTB長田智希(23=埼玉)だ。昨季のリーグワンでは、新人賞とベストフィフティーンを受賞。日本ラグビーの未来を担う若武者について、東海大大阪仰星高時代の恩師である湯浅大智監督(41)を直撃した。

 日本代表を多数輩出してきた名門・東海大大阪仰星高を2013年から率いる湯浅監督は、長田の第一印象をこう振り返る。

「飛び抜けてすごいプレーをしていたわけではない。選抜チームでプレーをしていたが、超エース級の選手だったかというと、そうでもなかった。ただ、真面目だった。考えてプレーしていて、頭の良さを感じた」

 現在の身長179センチは、ラグビー選手としては決して恵まれた体格ではない。高校時代から、長田は自身の〝ハンディ〟を頭脳でカバーする選手だった。学業の成績も優秀で「総合進学コース中に1クラスだけ、Ⅰ類(国立、難関私立大コース)というものが編成される。長田はそこにいた」。まさに文武両道を体現した、模範的な生徒だった。

 一方で、弱点もあった。自分の考えをしっかり持っている半面、その思いをチームメートにうまく言葉で伝えることができない。そんな姿にもどかしさを感じていた湯浅監督は、なかば強引に長田を主将に指名した。「すごく落ち着いている子だったからこそ、人前で話すことはあまり得意ではなかった。だから、あえてキャプテンに選んだ」。

 指揮官の思惑通り、長田は劇的に変化した。「Ⅰ類のクラスにいると、授業が遅くまであって練習に遅れて参加するので、プレーだけで見せるのには限界がある。キャプテンとして人前でしゃべることで、伝える力を身につけた」。内気でクレバーなプレーヤーは、頼もしいチームリーダーに成長した。

 長田は高校卒業後、早大でも主将に就任。その後も、恩師の予想をはるかに超えるスピードで成長し続けている。強豪の埼玉では加入1年目から活躍。新人賞とベストフィフティーンの2冠に輝いた。湯浅監督は「正直、まさかという思いはある」と驚きつつも「上手に駆け引きができる選手になってほしい。そうすれば、代表に求められる選手になれる」と大きな期待を寄せている。

 持ち前のクレバーさを武器に、若武者が日本ラグビーに新たな風を吹き込む。