第105回全国高校野球選手権大会(甲子園球場)は連日の危険な暑さの中で行われ、23日の仙台育英(宮城)―慶応(神奈川)による決勝を残すのみとなった。今回は試合中にクーリングタイムを設け、選手のクールダウンに充てられた。今後も工夫を重ねながら大会運営を継続させるが、一方で日程や場所の変更や二部制など、抜本的な改革を求める声も多い。政治評論家の竹田恒泰氏(47)は「ナイター制」を提案するが、果たして可能なのか…。

 今大会は初日から過酷な暑さが聖地を覆った。6日の第1日、兵庫に熱中症警戒アラートが発令される中、いきなり6人の選手(上田西、土浦日大、聖光学院、共栄学園)が足がつる熱中症の症状を訴え、ベンチ裏で理学療法士が処置を施した。球場内もあまりの暑さに観客が通路や階段に避難して大混雑となり、階段にずらりと座り込んで食事する異様な光景が見られた。

「運動は原則禁止」の警戒アラート下での開催には批判も多く、日程や場所の変更など抜本的改革を求める声が絶えない。大会前には元巨人の松井秀喜氏から開催期間を前半と後半に分ける「2部制」の提言もあった。高野連は試合時間を朝と夕方に分ける「1日2部制」を模索しているが、前半と後半で時間が開くと観客を総入れ替えする必要が生じ、実現にはまだまだ時間を要しそうだ。

 リスクヘッジの一環として大会本部はクーリングタイムを実施。5回終了時に10分間、アイスベストや送風機などで体を冷やし、選手のクールダウンに充てた。ミーティングをしたり、心身ともにリセットすることで6回に試合が動く場面も何度か見られている。改善点はあるにせよ、各チームからおおむね好評で、初日以降は不調を訴える選手も出ていない。

 これまでも休養日を増やしたり、給水時間の確保、理学療法士による試合前の体調確認、球数制限、タイブレーク制など健康面を考えてさまざな対策を講じてきた日本高野連の井本亘事務局長は「いろんな意見はありますが、できることをやっていくしかない」と今後も工夫しながら運営していくとした。

 そんな中、慶応高OBの竹田氏は「ナイター制」を提言した。アルプス席から母校に声援を送った竹田氏は「4試合なら開催時間をずらす工夫が必要。一番暑い時間は避ける。3試合に減らすのは運営上いろいろ難しいでしょう。朝9時台と、昼12時~1時台では全然温度が違う。殺人的に暑い時間を避けたら一時しのぎでなく、大きな変更になる」とした。

 さらに「これ以上朝が早くなると東京からだと駆け付けられない。ナイターにしちゃうという手もある。例えば午後3時スタートで夜までとか。電力ピークが午後1時とかに来るので、甲子園をずらすだけで日本全体の電力ピークの回避につながる」と省エネも期待できるという。母校の躍進に大興奮の竹田氏は「夏の甲子園は1つの文化。やめるのは簡単なので開催を継続すべく、最大限の工夫をして続ける努力すること」と滝のように汗を流して力説した。

 仮に第1試合が午後3時開始なら4試合が終わるのは夜中になる。ある大会関係者は「明文化されているかどうか分からないが、高校生が夜9時を回って試合をするのはよろしくないとされている。活動時間が長すぎ、教育の一環としてふさわしくない。9時には宿舎に帰さないといけないのに、連日のナイターはどうか」と現実的には難しいと見ている。かといって学業を考えると日程は動かせず「開会式を別日にするとか、今後も頭を使って8月にやるしかない」とも…。

 数年後に甲子園球場の銀傘(内野席を覆う屋根)をアルプス席まで拡張する計画もある。細かい工夫を重ねながら選手たちの体のダメージを最小限に抑え、運営を継続させていく。