チャレンジャー精神で名門対決を制した。第105回全国高校野球選手権大会(甲子園)は16日に3回戦が行われ、注目カードとなった第2試合は慶応(神奈川)が延長10回タイブレークの末に広陵(広島)を6―3で下し、15年ぶりのベスト8進出を決めた。

 3―3の同点で迎えた10回は無死一、二塁から始まるタイブレーク。先攻の慶応は一死満塁から渡辺千の二ゴロの間に勝ち越すと、二死満塁となった後に延末が右前へ貴重な2点適時打を放ってリードを広げた。その裏の広陵の攻撃を3番手・松井が無失点に抑えて、3時間に迫る熱戦に終止符を打った。

 試合は、慶応が序盤に3点をリードするも同点に追いつかれる嫌な展開。分岐点となったのは9回、広陵の攻撃だった。先頭打者が右前打で出塁し、高校通算62本塁打を誇るスラッガー・真鍋を迎えた。ここで真鍋は初球から犠打の構え。聖地にどよめきが起こる中、2球目を懸命に転がそうとするも三塁への小フライに終わった。流れが一気に慶応に傾き、広陵はサヨナラ機を拡大することができず無得点。真鍋の後を打つ4番・小林が3安打猛打賞と当たっていたこともあったが、結果的に裏目に出たバント失敗は、心理的にも両チームに大きな影響を与えた。

 森林監督は、9回の真鍋の犠打について「驚きました。打ってくると思っていたんで。ただ、広陵高校さんは1人のヒーローに頼るというよりは、みんなでやるっていう意識もあるでしょうから。あそこでバントをされたというのは楽というか、正直ラッキーという部分もありました。実際にバントを失敗してくれたんで、チャレンジャーのウチとしては、もう一回攻めていく気持ちにさせてもらえた」と淡々と振り返った。

敗れた広陵・真鍋(中央)は涙
敗れた広陵・真鍋(中央)は涙

 戦前の予想通り、実力校同士の接戦となった一戦。勝負の分かれ目は広陵にとっては残酷だったが、傾いた流れをつかみ切った慶応は勝者にふさわしかった。