中国政府は10日、新型コロナウイルス流行を受けて停止していた日本への団体旅行を約3年半ぶりに解禁したと発表した。観光業界にとってはコロナ禍でのマイナスを取り戻したいところだが、果たしてまた爆買いの光景が見られるのだろうか。

 団体旅行は2020年1月に停止。コロナ流行前の19年には中国人客がインバウンド全体の約3割を占めていただけに、観光業界にとっては団体旅行解禁に期待が高まっている。

 本当に期待していいのか。中国人ジャーナリストは「コロナ禍前、東京で“爆買い”していたのが、団体旅行客なのです。所得が低く、一生に一度の海外旅行にすべてをかけるという感じでお金を落としてくれたのです。お金持ちのリピーターの個人観光客は、ブランド品の爆買いにすぐに飽きて、北海道や長野県など、空気のきれいな観光地を訪れる“洗肺”という形の旅行でした」と解説した。

 中国の団体旅行というのは、「めんどくさいから全部お任せで」という日本の観光ツアーとは異なる。そもそも中国では所得によって取得できるビザが異なるのだ。
 在中国日本国大使館のホームページによると、観光目的のビザの種類は5種類。「団体観光」ビザは5~40人程度で構成される団体ツアー用だ。期間は15日間以内となる。「個人観光一次」ビザは添乗員が不要で、滞在期間は15日または30日。次に「沖縄・東北六県訪問数次」ビザは3年間、複数回使用でき、1回目の訪日で沖縄か東北6県に宿泊することが要件となっている。

 また、「十分な経済力を有する者に対する個人観光数次」ビザ、「相当な高所得者に対する数次」ビザというのもある。
 コロナ水際対策の緩和で日本が外国人の個人旅行を解禁して以降、訪れていたのは、ほとんどが「相当な高所得者に対する数次」のビザを所有する人だった。年収は1000万円以上とされる。

 一方、「団体観光」のビザでは、資格を有する添乗員が付き添ってのツアー旅行となる。個人旅行できる「個人観光一次」のビザ取得の最低年収が約190万円といわれるので、「団体観光」にはそれより低い年収の人もいるわけだ。

 前出の中国人ジャーナリストは「コロナ禍前の団体旅行はバスに詰め込まれ、資格を持たない違法添乗員のガイドで、観光地を一瞬見た後、都心のブラック免税店で買い物を強要されて終了なんてこともありました。そのブラック免税店では、日本の大手メーカー製の薬やサプリ、化粧品、オムツや粉ミルク、家電製品とあらゆるものが、日本の家電量販店よりも高い値段で売っていました」と明かした。
 当然、団体旅行をした人は不満を抱く。「中国国営の新華社通信などが何度も『日本のブラック免税店は中国人が経営している。同胞をだますとは悲しい』という論調で報じ、注意喚起し、国民に周知したほど。今後はお金をどれほど落とすのか未知数です」と同ジャーナリストは指摘している。爆買い再び…とはならないかもしれない。