日大アメフト部の男子部員が学生寮で覚醒剤と大麻を所持していたとして逮捕された事件で、警視庁の任意聴取に男が覚醒剤成分が入った錠剤は「大麻のオマケでもらった」と話していることが明らかになった。薬物依存患者の相談援助を行う関係者は薬物売買における“オマケ”の恐ろしさを指摘。危険薬物と知らずに使うことで、家族3代にわたって薬物から抜け出せなくなるケースもあるという。

 警視庁の家宅捜索を経て6日に逮捕された部員の男が、任意聴取で覚醒剤成分が入った錠剤は「大麻のオマケでもらった」と衝撃告白していたことが分かった。この事実がニュースになると、ネットでは「日大生 大麻おまけで 覚醒剤」なるフレーズが話題に…。「麻や大麻は夏の季語だから俳句として成立している」などと、多くの注目を集めている。

 大麻は様々な薬物への入り口となる「ゲートウェイドラッグ」と呼ばれるが、それ以上に問題なのはオマケで覚醒剤を配って“ジャンキー”の上客を作り上げる実態が浮き彫りになった形だ。

 薬物中毒者などの相談援助を行い、各地で講演活動もする精神保健福祉士の澤木幾佐氏は、こう話す。

「薬物売買における“オマケ”はくせもの。一時、国内で蔓延した脱法ハーブの店では、アッパー系のものに覚醒剤成分が含まれていて、これをハーブを買ったオマケで配っていたところもあった。こうして覚醒剤漬けの客を作り出していたケースもある」

 逮捕された男はオマケが「覚醒剤とは知らなかった」と話しているという。仮に覚醒剤で快感を味わったとしても、それが何かわからなければ依存しないと思いがちだが、澤木氏によればそこには恐ろしいトラップがあるという。

「一度、脳が快感を覚えてしまうと、薬物が切れてから同じ快感を欲する渇望現象が起こる。そこへ意図的に薬物を与えた相手が『これは覚醒剤』と、あえてカミングアウトする。すると、その瞬間から依存が始まるんです。今回の日大のケースも、同じ方法で売人が覚醒剤漬けにして高額を払う上客にしようとした可能性は否定できない」

 他人に盛られて意図せず薬物を使われたことで、依存するケースは少なくない。例えば性行為中に異性に薬物を盛られた、知らないうちに飲み物に盛られた、たばこを吸っていると思ったら大麻で副流煙を吸わされた、などなど。そのときに快感を味わい、のちにカミングアウトされることで再びその快感を求めて依存してしまうというワケだ。

 こうした薬物依存はそのときの当事者だけではなく、世代を超えて子供、孫世代にまで影響を及ぼす可能性もあると澤木氏は警鐘を鳴らす。

「非常につらい話だが、薬物依存の家族の子供も将来的に同じく薬物依存に陥ることがあります。直接の依存ではなく、薬物依存に陥った親による子への教育の問題で、虐待などで負った心の傷が非行へ走らせ、薬物にも手を出す結果になる。こうした負のスパイラルで、薬物依存2世、3世と世代間連鎖するケースは目立ちます」

 日本は島国という地理的要因で薬物が入ってきづらく、諸外国に比べて国民の生涯経験率が極めて低いため「奇跡の国」と呼ばれている。そんな中、近年は若者の大麻検挙者が急増。ゲートウェイドラッグを通じた薬物依存の拡大が危惧されるなか、今回の事件は象徴的な出来事なのかもしれない。