日大アメリカンフットボール部の違法薬物問題で、大学側の「危機管理力」の低さが改めて浮き彫りとなった。日大が8日に開いた会見では林真理子理事長、酒井健夫学長、沢田康広副学長が出席。これまでの経緯などについて2時間以上にわたって説明したが、逆に大学側の対応のまずさが露呈する格好となった。今回の会見を、専門家はどう見たのか。

 広報コンサルタントで日本リスクマネジャー&コンサルタント協会副理事長の石川慶子氏は「非常に分かりにくい会見。(会見前に)簡単なメモでもいいので、せめて時系列で何が起きたのかぐらいはペーパーで配布するべきだった。そういったものがないと聞く側も混乱する。『あれ?』と思うことがたくさんあるから、事実関係の部分ばかりに質問が集中していた」と指摘した。

 会見では〝空白の12日間〟を巡る疑惑も払拭できなかった。大学が荷物検査で薬物らしき不審物を発見したのは7月6日。同18日に林理事長が部員の保護者から告発の手紙を受け取り、沢田副学長が警察に通報した。副学長は通報が遅れた理由について「学生の学業優先」と説明。この対応に、石川氏は「あまり体質が変わってない印象。不正や犯罪と、学業をてんびんにかけたときに学業優先なのか。沢田さんは元検事ですよね。その感覚が分からない」と疑問を呈した。

 日大は今回と同じアメフト部で起きた2018年の「悪質タックル問題」でも、危機対応の不手際が指摘されていた。石川氏は「いろんなことを想定して、どうするのかを考えておくのが本来のリスクマネジメント。問題が起こったときに、どう情報を共有していくのか。(日大には)『危機管理学部』があるにもかかわらず、危機管理の体制が構築できてない」。プロの視点から、5年前の教訓が全く生かされていない現状を鋭く指摘した。