泣きっ面に蜂だ。巨人が9日の阪神戦(東京ドーム)に延長11回の末、2―5で敗れて自力優勝の可能性が消滅した。首位阪神との直接対決で痛恨の連敗を喫して窮地に立たされ、敗戦以上の屈辱も味わった。発端は前夜の初戦で高梨雄平投手(31)の登板時に巻き起こった、阪神ファンによる大ブーイング騒動だ。

 一進一退の攻防も、むなしい結果に終わった。先発グリフィンが7回1失点と試合をつくり、0―1の7回二死二塁では代打・中田翔が13号2ランを放って逆転に成功。しかし、直後の8回に2番手・鈴木康が中野に同点ソロを許し、11回には5番手ビーディが木浪の2点二塁打などで計3点を失って力尽きた。3時間41分の熱闘を落とした原監督は「3点目が重かったってところですね」となかなか追加点を奪えなかった打線に敗因を見いだすほかなかった。

 これで首位阪神とは10ゲーム差。自力Vの可能性も消滅した。宿敵を相手に本拠地で辛酸をなめる形となったが、味わった屈辱は他にもあった。

 それは前日8日の試合で起きた。4―5の8回から高梨が救援登板すると、左翼席の阪神ファンから「帰れ!」の大合唱とともに大ブーイングが発生。それをかき消すかのようにG党からはすぐさま「高梨コール」が沸き起こり、両軍ファンの声援が入り交じるカオスな事態となった。

 7月2日の同カードで高梨が近本に死球を当てて骨折させたことが事の発端ではあるが、すでに同25日の試合前に直接謝罪に行ったことで両者間では和解。それでも東京ドームに足を運んだ虎党の中にはまだくすぶるものがあるようだった。

 当事者間で解決済みの問題をほじくり返された巨人サイドも当然いい気分ではなかった様子。ある球団関係者は「さすがにしつこすぎるんじゃない? もう選手同士で解決した話なのに」とし、別の関係者も「当たり前だけど、巨人ファンからしたらいい気はしないですよね。それに夏休みだからちびっ子たちもたくさん応援に来てくれている。『怖いな』とか『もう来たくないな』とか思わなければいいけど…」と子供たちへの影響も懸念した。

 実際、SNS上には「阪神戦だけはいかないようにする」「子供に『なんでブーイングされてるの?』と言われて反応に困った」などと不快感を示す現地観戦組のファンの声も上がっていた。巨人としてはこの日の勝利で一矢報いたいところだったが、逆転負けで今季の阪神戦は全6カード勝ち越しなし。なんとも後味の悪い〝伝統の一戦〟となってしまった。