パイオニアは成功を確信している。ソフトバンクのカーター・スチュワート投手(23)が26日のオリックス戦(京セラ)で最速159キロの直球を武器に6回1失点(自責0)と好投し、来日5年目で待望のプロ初勝利をマーク。「アップダウンがあって平らな道ではなかったけど、努力を怠らず自分の目標をしっかり持ってやれば、必ずこういう日が来るということが証明できた」と胸を張った。
スチュワートは2018年の全米ドラフトでブレーブスから1巡目(全体8位)指名を受けたものの、右手首の異常が問題視されて大学に進学。敏腕代理人として知られるスコット・ボラス氏の進言を受け、19年5月にソフトバンクに電撃入団した。将来的なメジャー挑戦を視野に入れた6年契約で、米国生まれの有望株がいきなりNPB入りする前例のない挑戦。ソフトバンクの革新的プロジェクトは日米で大きな話題を呼び、現在もメジャー球団が成長過程を注視する存在だ。
今季5試合に先発して防御率1・57。この日もメジャー5球団が視察する中、相手を見下ろす投球で成長の跡を見せた。課題の制球力は大きく改善。クイック投法に難は残るが、日本式育成で才能を開花させつつある。「日本でやってきたことが実を結んでいる。特にランニングと体幹。日本の野球に触れたからこそ重点的に強化できたと思っている。それが今の自分にはね返っている」と手応えを口にする。
198センチ、101キロ。均整の取れた体格にキレが出て、驚異的な回転数を誇る剛速球の質は年々向上。スタミナ面の不安もない。メジャーで主流の「中4日100球」ではなく、日本流の「中6日120球」をファーム時代から意識。5年の下積み生活を経て、郷に入っては郷に従えの精神が成長を後押ししている。
斉藤和巳投手コーチは「無理をさせず大事に育てたい。日本だけにとどまる才能じゃないことは今の時点で分かっているし、その手応えを指導者も感じている。日本の野球で成長しようとする姿が伝わるのはうれしい」と目を細める。「これからがスタート」と前を向いた日本をこよなく愛する黒船右腕。逆転優勝を目指す鷹に、計算できる戦力が加わった。












