DDTに所属する女子プロレスラーの赤井沙希(36)が、11月12日の東京・両国国技館大会で現役生活にピリオドを打つ。2013年8月に鳴り物入りでデビューし、芸能、モデル活動を続けながら団体唯一の女子選手として活躍。デビュー10周年の節目にリングを去ることを決めた。決断を後押しすることになった〝あるオファー〟に華々しいプロレスラー人生の裏にあった数々の苦労とは――。引退ロードに臨む心境を激白した。
――引退を決めたきっかけは
赤井 前からふんわりは考えていました。でも、目の前のことを一生懸命やっていたら時間がたっちゃって。「10年か…」と思ったタイミングでプロレスでちょっと大きい海外との契約のお話をいただいて、それが2年契約だったんです。その契約が終わるまで絶対プロレスを卒業できないから、そうなると12年のキャリアになるのか、結局ズルズルいっちゃうなと思って、会社に自分の考えを伝えました。
――まだまだDDTでやりたいことがあったか
赤井 ケガしたわけでもないし、DDTのみんなが好きだし、プロレスをもっといろんな人に知ってもらいたかった。私はDDTを好きになってプロレスを始めて、言うならDDTは家。だから今まで不満もあったり、思うようにいかなかったりしたこともあったけど、辞めたいって思ったことは一回もなかったです。
――デビューした当時、戸惑ったことは
赤井 別になかったかな。ただ中、高、短大全部女子校で、家もおばあちゃんと姉と母で暮らしていたので、こんなに男の人だらけのところに行くと思わなかった。最初はみんな私に近寄ってもこないし、話したりもしてくれなかったんです。当時は女性ファンが圧倒的に多かったので、会社から私と噂になったら困るとかで「気をつけろ」って言われてたみたい。それにタレントをやっていて、いつ辞めるのかも、どれぐらい本気でやりたいのかもわからないような人がいきなり入ってきて、そういう反応になるのはわかってました。
――プロレス人生のターニングポイントは
赤井 世Ⅳ虎(現世志琥)選手に負けた時。デビューしてから勝敗に絡んだことがなかったんですけど(2014年1月26日後楽園大会のタッグ戦で)直接3カウントを取られて、負けの重みを初めて感じた。そこから強くなりたい、リング練習だけじゃダメだって思って、打撃を学び出したり。レスラーとして変わっていきたいって思うきっかけになりました。
――初めてタイトルに挑戦したスターダムのワールド王座戦(同年12月23日)の相手でもあった
赤井「お前の上がるリングじゃない」「スターダムのベルトを軽く見るな」「早くケガして辞めてください」とかバッシングがすごくて。ポスターの私の部分だけ破られていたこともありました。
――当時の心境は
赤井「何でこんな思いまでしてやらなアカンのや!」って逆ギレしたり、練習中にパニックになって泣いちゃったことも。大したことないマット運動ができなくて後輩の前で泣きながら「タイトルマッチを控えてる私がこんなこともできないなんて、挑戦する資格ないでしょ!」って自分に怒ってました(笑い)。
――どう乗り越えた
赤井 怖かったけど、考え方をどうにか変えたいと思って。私をバッシングする人たちは、自分たちなりに守りたい好きなプロレス、選手がいるから私が鼻につく。だから大まかに言うと「プロレス好き」ってことでは私と一緒だから、「分かり合えるはず」って考えるようにしてました。
――試合当日は
赤井 セコンドには木村響子さんだけが就いてくれて頼もしかったんですけど、私は1人で乗り込んできてるのに向こうは死ぬほどセコンドが就いていた。私がコーナーに追い詰めたら、向こうのセコンドが寄ってたかって攻めてきて、「これは美しくないな」と思ったんです。なので、DDTに来ていただいた選手とシングルをやる時は、仲間に「セコンドは就かなくていい」って言ってます。同じ思いをさせたくないと思いましたね。
――引退ロードでやりたいことは
赤井 戦わないといけない選手もいる。でも今後のプロレス界を考えたら、今まで全く関わりのなかった選手と戦いたい。東京女子だと最近デビューした凍雅、HIMAWARIとか。他の人からでは学べないことを私から感じてほしい。あとはDDTらしい路上プロレスとかもやりたい。今までやる気はあるのに試合が組まれなくてつらい思いもしましたけど、残りの数か月でぎゅっと組まれると思う。キャリアで一番強い私を目指したい。
――引退後は
赤井 去年開いたサロンの経営と芸能のお仕事を中心にしていきます。今はこのプロレス人生をやり遂げることしか考えていないです。結婚? 今は考えてもないし、予定もない。DDTのみんなに引退を伝えた時、ある先輩選手に笑いながら「結婚すんの?」って言われたんですよ。「予定はないです」って言ったんですけど、その後に「私が男子選手だったら言ってましたか?」ってすごいむかついてきて。女子選手が辞めるイコール結婚、もしくはケガの2択しかないのは違うと思う。違う選択肢があるっていうことを今のプロレス界に見せたいなって思いました。














