【山口敏太郎オカルト評論家のUMA図鑑#514】先週は2023年最新のUMA目撃情報として、パタゴニアの「クレブロン」を紹介させていただいた。
1月下旬、チリの報道機関が、パタゴニア北部のロス・リオス地方のランコ湖のほとりにある小さな町ラゴ・ランコで〝怪物〟の映像が撮影されたと報じた。映像はソーシャルメディアアプリのティックトックに、アンドレス・ローゼンさんという人物が2本の短い動画をつなげた形で怪物の姿を捉えた映像を投稿したもので、大きな茶色い体の水生動物が浅い川を泳いでいる姿がはっきりと映っていた。
果たして、この生物は一体何なのか。カイマンやクロコダイルのような大型爬虫類の可能性がまず考えられたそうだが、体の表面がうろこに覆われていないため、ワニの可能性は低いとされていた。だとすると大型の海生哺乳類の可能性も考えられるが、ランコ湖は海から離れたかなり内陸に位置しているのだ。ランコ湖には昔から「クレブロン」と呼ばれる怪物の伝説が残っていることから、この動画は伝説の怪物クレブロンの姿をとらえたものではないかという説も出てきていた。
しかし、クレブロンの写真を見た海外のUMA研究家アンディ・マクグラス氏が、BBCのドキュメンタリーシリーズ「サウス・パシフィック」にクレブロンと似た動きをする生物が記録されていたことを確認していたのだ。
その生物の正体はミナミゾウアザラシ。世界最大の鰭脚類・肉食動物で、体重は最大4トン、体長は6メートルに達するもので、チリや南極の海でよく見られるという。しかし、ミナミゾウアザラシは海ないしは海辺に生息する生物だ。内陸のランコ湖までたどり着けないのではないかと思われた。しかし、海外のネットユーザーがアイナチュラリストという生物科学系のSNSに、2021年にロス・リオス地域でサンペドロ川48キロ上流の地点を泳ぐゾウアザラシの姿をとらえた写真が投稿されていたことを見つけ出したのである。
他にも2018年の論文にオスの未成体のゾウアザラシが、かなり上流まで川を上ってきていたという記録があったり、ウルグアイの事例ではミナミゾウアザラシが川を370キロもさかのぼった例も報告されていたという。
これらの記録と動画との類似性から、今回のクレブロンの正体は湖までさかのぼってきてしまったミナミゾウアザラシである可能性が高いと考えた方がよさそうだ。











