巨人の坂本勇人内野手(34)が苦しんでいる。19日のDeNA戦(佐賀)は今季初となる2試合連続のスタメン落ち。今季は開幕から20打数ノーヒットという最悪のスタートで、5日のDeNA戦(横浜)で今季初のスタメン落ちとなると、その後も復調することができずに15試合で46打数6安打、1本塁打、2打点、打率は1割3分という不振にあえいでいる。どうすべきなのか。本紙評論家の伊勢孝夫氏は「坂本が引退回避のためにすべきこと」を指摘した。

【新IDアナライザー・伊勢孝夫】「このままでは終わってしまうぞ」というのが率直な感想だ。

 坂本の打撃フォームは私が巨人のコーチをしていたころから見ているが、今の打ち方そのものは悪いわけではない。ただ、今季のスイングで気になるのは、内角球に詰まらされる場面が見受けられること。坂本は内角球のさばき方に天性のものがある。「あいつがあんなふうに詰まらされるんや…」と正直、びっくりしたもので、何らかの異変があるのは明らか。私は、その原因は「下半身」にあると見ている。

 下半身の筋肉が衰えるなどして、うまく使えなくなってくると、スイングそのものは以前と同じように見えても、打球に力が伝わらない。ベテラン選手は筋力の衰えを克服するため、そこの筋肉をトレーニングで鍛えていく。試合にフルで出場できているうちは、試合の中で鍛えられる面もあるからまだいい。ところがベンチで代打待機となったりすると、あっという間に筋力は衰えていく。それこそ信じられないスピードで「引退」という二文字が迫ってくるというものだ。

 そんな悪循環に陥らないためにも、出場機会の減ったベテラン選手は、より意識して体を鍛えないといけない。とりわけ試合前の練習は大事だ。私が巨人のコーチをしていたころ、試合前の練習で控え選手たちに早出練習を課し、みっちり打ち込ませたものだが、今の坂本には、それをやる必要がある。

「ベテランにそこまで言えない」「坂本は腰に不安があるから…」などというコーチがいるなら、クビにしたほうがいい。コーチというものは、選手を試合に使える状態にして監督に推薦するもの。今年の巨人は原監督がコロコロとオーダーをいじっていることが批判されているが、私に言わせれば使える状態の選手を揃えることができないコーチが悪い。私や内田順三がコーチをしていたら、坂本とじっくり話し合って、きっちり使える状態で試合に送り出していますよ。打撃コーチの大久保や亀井は、そこをちゃんとやらせないといけない。

 坂本自身の意識としては、40本塁打した過去のシーズン(2019年)のことを忘れるべきだ。本来は中距離打者。飛距離を求めるのではなく、首位打者となったころ(2016年)のスイングを早出の打ち込みで固めていく。そうして体、特に下半身にキレが出てくれば、巨人の打線も一気につながるようになるし、チームの順位も自然と浮上するだろう。

 まだ34歳。衰えていく筋力との付き合い方を覚えることができれば、あと5年はプレーできる。だが、それができない場合は…。坂本もチームも「このまま終わってしまう」可能性は否定できない。

(本紙評論家)