第5回WBCにキューバ代表として出場した、中日のジャリエル・ロドリゲス投手(26)の「亡命騒動」が波紋を広げている。キューバ野球連盟が同国のメディアに「ロドリゲスが中日との契約を破棄した」「損害賠償13億円を要求する」との声明文を発表。ロドリゲスは現在、ドミニカ共和国に滞在中で、メジャー球団との契約を目指すと報じられている。今後の展開はどうなるのか。そして中日球団が取るべき対応は…。

「ロドリゲス亡命」は、28日に全米野球記者協会所属のフランシス・ロメロ記者が、自身が運営するニュースサイトで「キューバ人投手ジャリエル・ロドリゲスが中日ドラゴンズとの契約を破棄し、近い将来にMLB組織との契約を模索する予定である」と報じたことで発覚した。同記者はキューバ野球関連の著書もあるなど、キューバ球界事情には精通しており、その後、キューバ野球連盟が声明文を出す事態となった。

〝寝耳に水〟状態だったのは中日だ。加藤宏幸球団代表は29日に「今日の中部国際空港に12時前くらいに着く便で来日する予定だったが、乗っていなかった。現在、本人とは連絡が取れない状況。電話してるけど全然つながらない。正確な情報は何もない」と困惑した表情で話した。

 昨季、最優秀中継ぎ投手に輝いたタイトルホルダーが、開幕直前に突然、いなくなるという異常事態。チームに与える影響ははかりしれない。本紙評論家の得津高宏氏は「立浪監督があまりにもかわいそう。中日は断固として許してはいけないし、厳しい措置にでるべきです」と声を強めた。

 今後の見通しとして、ロドリゲスは「5年65億円」程度の大型契約が見込めるとも報じられているが、中日が「制限選手」として公示すれば、ロドリゲスはメジャーのどの球団とも契約できない。ただ、それをやると支配下選手の枠を一つ使わなければならないというデメリットがある。

 得津氏は「どうせ帰ってこない選手のために支配下の枠を使うのはもったいないのですが、はいそうですかと制限選手にせずに移籍を認めてしまえば、ほかの選手への悪い前例になってしまう。ある程度の期間、制限選手にしたとして、その間の支配下枠の問題は、事例に応じたコミッショナー判断でどうにかならないんですかね。同様のケースで日本の球団が違約金を取れるようにするなど、日米間の移籍のルールを再考してもらいたい」と〝ゴネ得〟がまかり通らないルール作りの必要性を訴えた。

 一方、キューバ野球連盟が声明文のなかで主張した「損害賠償として1000万ドル(約13億円)を要求する」とした点についてはどうなのか。

「そもそも亡命した選手に損害賠償を請求したところで、払ってもらえるかどうかは疑問です。たとえ払ってもらえたとしても、じゃあ中日への損害賠償はどうなるのかという問題も残る。キューバの有望選手を中日に優先的に派遣してもらえるというのなら、まだ納得もできますが…。実際にWBCのキューバ代表の主力選手は、ほとんど亡命した選手ばかりなんですよね。これでは今後『キューバから選手を獲得しよう』というNPB球団はでてこなくなるかもしれません」(得津氏)

 逃げられたくなければ、獲得しなければいいということか。