ロッテが15日、キューバ代表の主砲、アルフレド・デスパイネ外野手(28=右投げ右打ち)の獲得を発表した。来日時期、背番号は未定。ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に2度出場している強打者は、175センチ、95キロと小柄ながら長打力が売りで、2011年のキューバ国内リーグで放った36本塁打は、同リーグの最多記録だ。それにしてもそんな“キューバ最強打者”を、巨人がなぜ指をくわえて見ていたのか。舞台裏を探ってみると――。
ロッテに入団が決まったデスパイネは、実は巨人の“恋人”でもあった。
他球団に先駆けてキューバ政府と選手獲得交渉を隠密に進めていた巨人は昨年9月、来日したキューバのスポーツ庁長官から「獲得希望選手リストを提出してほしい」という打診を受けた。
チームの補強ポイントは「強打の外野手」。キューバ国内リーグで史上最多タイの3度のMVPを獲得し、36本塁打のリーグ最多記録も持つデスパイネはまさにうってつけだ。34歳のセペダに比べ、28歳とまだ若いのも魅力だった。以前、島崎国際部長は「(セペダを含む)数選手をリストアップした」ことを本紙に明かしたが、球団関係者によると「第一希望はデスパイネだった」という。
デスパイネは昨夏からメキシカンリーグ・カンペチでプレーしていたが、同関係者によると「上層部は強く希望すれば獲得できる感触を得ていた」。だがその後に問題が発生した。「キューバ国内でプレーしているセペダらと比べると来日への手順が複雑な上、良くない噂も耳に入ってきた」という。
その「良くない噂」が今年5月、現実の事件となる。デスパイネが偽造されたドミニカ共和国国籍のパスポートでメキシカンリーグに選手登録されていたことが発覚。偽造パスポートを使った亡命を恐れたキューバ政府は、出場停止処分を受けたデスパイネをただちに本国へ呼び戻した。
巨人軍は紳士たれ、だ。「あとでわかったことだが、デスパイネは母国キューバへ帰れなくなる米国亡命より、むしろ日本行きが希望だったらしい。パスポートの問題はMLB球団に売りたいエージェントが画策してやったことのようだ。でも来日してからそういうスキャンダルが発覚すれば大問題になる。(巨人の)上層部は(事件発覚前の)早い段階で『手を引こう』ということになった」(前出の関係者)
現在DeNAで活躍中のグリエルは早くから調査していたが補強ポイントに合致せず、デスパイネは“偽造パスポート問題”で獲得を断念せざるを得なかった。セペダが不振で二軍調整中だけにファンの視線は厳しくなっているが、巨人にも獲得を見送ったそれなりの事情があったのだ。
そんな巨人がキューバで次に狙うのはリリーフ投手。担当者がすでに何度も現地に渡ってセレクションを行っている。現時点での有力候補はヘクター・メンドーサ(20)、ヨスバニ・トーレス(33)とみられ、現在はリリーフ適性や日本への順応性などを担当者が慎重に見極めている最中という。
今回“本命恋人”はロッテに譲ったが、キューバ球界との道を切り開いたのは巨人。先駆者として、今後も積極的に調査を続ける構えだ。












