侍ジャパンの一員として奮闘中の吉田正尚外野手(29=レッドソックス)が今季メジャーで使うグラブの全貌が明らかになった。担当するのはメジャー球界で野球グラブの職人として知られる米国ウィルソン社の麻生茂明さん(77)だ。

 麻生氏は2月下旬にレッドソックスのキャンプ地で対面。吉田が持ってきた日本製の同社ASJモデルのグラブ3つを手にすると、捕球面のポケットや親指部分の硬さ、網などを入念にチェックした。「開幕には間に合わない」そうだが、シーズン中に納品することになるメジャー仕様の新しいグラブは米国では最高級モデルA2Kで、サイズは12・5インチ。革は日本製で、捕球面にはスピンコントロール加工を施す。

 吉田からは「M・YOSHIDAの刺繍と、(掌が触れる内側部分に)『頂』(の刺繍)もそのまま入れてほしい、レッドソックスカラーで作ってほしい」というリクエストがあったという。

グラブを手にする麻生茂明氏(カメラ・カルロス山崎)
グラブを手にする麻生茂明氏(カメラ・カルロス山崎)

 麻生氏はこれまでにメジャー歴代1位の通算762本塁打を放ち、ゴールドグラブ賞8度のバリー・ボンズ、レッドソックスでゴールドグラブ賞4度受賞のダスティン・ペドロイア、同6度受賞した現ドジャースのムーキー・ベッツ外野手(30)ら名手と呼ばれる多くのメジャーリーガーのグラブを製作してきた名人だ。

 同氏は「その選手が試合で使っているグラブを見て、触って」得た感覚を再現させるまでグラブを繰り返し叩いてから納品することを信条としている。つまり、グラブが出来上がってからの作業が長いのだ。「トレーニングはしていませんが、(何日もかけて叩く作業は)結構な運動量になります」と話す麻生氏の肩回りはTシャツの上からでも筋肉隆々なのがひと目で分かる。

 麻生氏が手がけたペドロイアモデルの「A2000DP15」は、ゴロ捕球とボールの握り替えがスムーズに出来ると評判となり、米国内では今でも売れ続けている大ヒット商品だ。