「絶対エース」の復権はなるか――。3年ぶりV奪回を目指す巨人で「熟年エース」菅野智之(33)の特権が〝はく奪〟された。背番号18は4日の韓国サムスンとの練習試合(那覇)で初先発に臨むが、今季実戦初登板だった前回の試合は〝異例〟のイニング途中から。そこには菅野を特別扱いしないという首脳陣の断固たる覚悟があった。
3日の沖縄キャンプ、菅野は初先発に向けて軽めの調整。キャッチボール、ノック、ジムワークに汗を流した。
昨季は後半こそ調子を上げたものの10勝と、チーム勝ち頭を12勝で侍ジャパンにも選出された「若きエース」戸郷翔征(22)に譲った。
150キロ超の直球とズバ抜けた制球力で2017、18年と2年連続で沢村賞を獲得し「絶対エース」の名を欲しいままにした菅野だが、ここ数年は緩急を巧みに使う投球にモデルチェンジ。今季は右足をプレートに沿って固定する新フォームに取り組むため「特別いついつにまたブルペン入って何球投げてとか、いつの実戦を目指してとかは、そういうふうにやっていくつもりはないので。その日の気分で決めようかなと思います」と〝オレ流〟調整を宣言していた。
その菅野が「登板したい」と訴えたのが2月25日の広島とのオープン戦(那覇)だった。だがローテ入りを目指す4年目左腕・井上温大(21)の先発がすでに決まっており、菅野は2番手として5回から1イニングの登板となった。
これに球団スタッフは「今まではどちらかと言えば菅野の調整スケジュールに投手陣全体が合わせていた。菅野が初登板する際はまだ誰も踏んでいないまっさらなマウンドが当たり前だった」と驚きを隠せなかった。
さらにその初登板は右腕にとって苦いものとなった。広島打線の早打ちもあり2球で二死を奪うとわずか9球で三者凡退。直球の最速も145キロと奮わず登板後にはブルペンで60球を投げ込んだが「あんまり自分の思う形とかできなかった」(菅野)と収穫は少なかったという。
投手陣を預かる阿波野投手チーフコーチは「菅野に関してはずっとサムスン戦で(初先発を)いこうかなと思っていたら、1週間前(の広島戦)に本人が『行けそうです』と(言ってきた)。それだったらリリーフでいくけど、というやりとりはありました」と説明した。
若手有望株の調整を優先した形。同コーチは「選手には『今まではこうだった』という考えはあまりみんな持たないでほしいと言った」と今季の投手陣の方針を明かす。「ベテランにとってはそれぞれの流儀があるので尊重はしていくが、例えばキャッチボールの後にノックをするというのは新しい形。今までの流れというより新しい投手陣になるわけだから」と無条件に前例を踏襲するつもりはないという。
「エース特権」はなくなったが、菅野もこのまま終わるつもりはない。圧倒的な成績を残し再び「絶対エース」に返り咲けるか注目だ。












