【今村猛 鉄仮面の内側(27)】 現役時代はカープのチームメートたちと本当にいい時間を過ごすことができました。ただ、チームには選手だけではなく監督、コーチやスタッフの方々がたくさんいて、我々を支えてくれていました。
ファンの皆さんも聞き慣れた職業だと思うのですが、バッティングピッチャーという存在の方々がいらっしゃいます。僕は投手だったので、打撃練習で毎日お世話になる感じじゃなかったんですけど、遠征先ではよく食事に付き合ってもらっていました。コロナ前には本当によく行きました。
野手と打撃投手の方々との食事会というのは、いつもフリー打撃で投げてもらっているわけですしプロ野球の世界ではよく聞く話だと思うんです。
でも、投手が打撃投手と一緒に出かけるって珍しいよねと聞かれたことがありまして。普通に気が合うからというのが理由でもあるんですが、確かに珍しいかもしれないので、ここで少しお話しさせていただきます。
打撃投手の皆さんも悩みを持たれてます。もともとは僕たちと同じ投手ですから打たれたくないという本能があります。それを学生時代からさかのぼると何十年もやってきているわけです。簡単に切り替えられるものではない。
他チームも同じとは思いますが、カープでは打撃投手を務める上で気持ちよく打たせるというコンセプトがあったんですよね。自分を殺して現役選手を優先する。もともとは抑えるために投げていたけどそこは仕事。プロとして当然のように行っているように見えますが簡単なことではありません。
僕もある意味、年齢的にも野球界の中でも先輩である打撃投手の方々には、言い方は難しいですが甘えさせてもらっていた部分がありました。現役選手を優先してもらえるというところで言えば、自分のペースで好きなお店に行って、自分の思うように振る舞って許してもらえる。
選手同士だとなかなかそうはできないものなんです。もちろん先輩と同席して自分本位でいるわけにはいきません。逆に後輩を誘ってばかりでも、連れ回しているみたいでいい感じはしません。かといって同世代でも、それぞれプロ同士として結果がいい時も悪い時もある中で自分のペースでやってしまうのは申し訳なかったりもするんです。
表現は難しいんですが、打撃投手の方々は自身の試合でのパフォーマンスを気にしなければいけない立場ではないですよね。もちろんチームとして必要な戦力なのですが、そういう部分で気を使わないでお付き合いしてもらえるので助かっていました。
そういうことを振り返ってみても、やっぱり現役選手というのは裏方の皆さんのおかげでストレス少なくプレーさせてもらっていたんだなというのが分かります。
現役選手は年俸も高額ですから支払いをこちらでさせてもらう形ではありますが、それ以上にこちらがお世話になっているという気持ちが大きかったですよ。自分の行きたいお店を勝手に予約して自分のペースで好きにさせてもらえる。翌日に備えて先に帰りますと言っても、とがめられることもない。本当にグラウンド内外で支えてもらっていました。












