これも大物の証明か。巨人のドラフト1位・浅野翔吾外野手(18=高松商)のキャンプ二軍スタートが決まった。球団はあせらせることなく「金のタマゴ」をじっくりと育成していく方針だが、その一方で浅野の「両刀」を巡って球団内で議論が活発化している。

 ジャイアンツ球場で新人合同自主トレ中の浅野は22日のフリー打撃でも左右両方の打席に立つと、鋭い振りで快音を響かせた。

 昨夏の甲子園で右打者として3本のアーチを描いた。その豪快な打球は多くの人々の記憶に残ったが、高校通算68本塁打中、左打席でも4本塁打を放っている。もちろん浅野の主戦はあくまで右。2年夏から取り組んだという左打席での本塁打数は、公式戦ではゼロで練習試合に限られる。

 背番号51は「バランスを整える意味でも。左でもしっかり振れると思うので、そこで(右打席と)同じように強い力で」と左打席で打つ意図を説明。その一方で「右は岡本和真さんを意識していて、左は吉田正尚さん(レッドソックス)とか、そういった同じような身長の方を意識しています」と日本を代表する左右の好打者を挙げ、一心にバットを振っている。

自主トレで、左打席でも快音を響かせる巨人・浅野
自主トレで、左打席でも快音を響かせる巨人・浅野

 この浅野の「左打席」には当然ながら球団内から注目が集まっている。ただでさえ金属から木への対応でスイング数を増やす必要がある。そんななか左打席も求めれば「どっちつかず」となる可能性は十分にある。

 球団内の最大与党はもちろん「右打席専念派」。水野スカウト部長が「浅野には右の吉田(正尚)になってほしい」と話したように、右打席に集中して1日でも早く一軍の舞台に立ってほしいという意見が大半だ。

 その一方で「ロマン派」も存在する。浅野の左打席を見たコーチの1人は「二岡二軍監督がキャンプでまず浅野を見て、それから原監督が一軍コーチ陣と話をしながら方向性を決めていく」と今後のプランを明かした上で「本人が自ら左打席に立っているのに『左打席をやるな』と最初から言って、いいところを消す必要はないと思う」と当面は浅野の好きにさせることを勧める。

 その狙いは本人のやる気を最大限に引き出すこと。「甲子園で右打席であんなにすごいホームランを打てるのに、自主トレでは左打席でもガンガン打っている。これで成功したら国内では唯一無二の存在になるし、いい意味で楽しみ。最終的に両打ち、右打ちどちらになったとしても、そのチャレンジ精神は素晴らしいと思う」と前出のコーチは挑戦することのプラス面を評価した。

 ピタリとハマって両打ち長距離砲に成長すれば、助っ人以外では2002年に打率3割3分2厘、36本塁打、33盗塁でトリプルスリーを達成するなど日本通算201本塁打、メジャーでも活躍した松井稼頭央・西武監督以来となる。

 もちろん大成まではイバラの道だ。PL学園で投手として活躍し、プロ入り後に両打ち野手となった松井監督が血のにじむような努力をしたように、浅野の場合は打撃練習の大半を左打席に費やす必要がある。それでもリターンの大きさには十分な魅力があるが…。指揮官の決断に注目が集まりそうだ。