22日に自身のSNSで現役引退を表明した車いすテニス男子シングルス世界ランキング1位の国枝慎吾(38=ユニクロ)は〝変化を恐れない〟プロフェッショナルだった。
2006年にアジア人で初めて世界ランキング1位の座に輝くと、07年には車いすテニス界史上初となる年間グランドスラムを達成した。パラリンピックでも08年北京大会、12年ロンドン大会で金メダルを獲得。しかし、16年リオデジャネイロ大会は慢性的な右ヒジ痛みに悩まされ、準々決勝敗退に終わるなど、思うような結果を残せなくなった。
ただ、このままで終わらないのが王者だった。「自分が変わるしかない」と一念発起。積極的に前へ出ていく戦術に方針転換し、2桁に沈んだ世界ランキングも1位に再浮上。自国開催となった21年東京大会で金メダルを奪取。さらに昨年7月のウィンブルドン選手権でも優勝し、4大大会全制覇とパラリンピック金メダルを合わせた生涯ゴールデンスラムの快挙を成し遂げた。
貪欲にレベルアップを求めてきたからこその大偉業。元日本代表監督の大槻洋也氏は「いろんな部分をグラフしたとして、いびつだったのものが、だんだんそろってきた感じ。メンタルも入れて、自分が足りないものに対して、ここを努力してきた印象があります」と口にする。
その姿は後輩たちにとって刺激となっており、20年全仏オープン女子シングルス準優勝の大谷桃子(かんぽ生命)は「体格的にも日本人はそんなに大きくはないので、海外の選手と同じようにやっていたら全然勝てないけど、それをこうすればいいよと言っているわけではないが、プレーで見せてくれている」と話していた。
世界の頂点を極めてもなお、まだ見ぬ景色を追い求めてきた。そんな王者がついにコートへ別れを告げた。











