車いすテニスの第一人者がコートを去る――。男子シングルス世界ランキング1位でパラリンピック通算4個の金メダルを獲得した国枝慎吾(38=ユニクロ)が22日、自身のSNSで現役引退を表明。「本日1月22日、引退することをご報告致します。皆様今まで本当に有難うございました!」と報告した。

 9歳のころに脊髄腫瘍を発症。下半身まひとなったが、11歳から始めた車いすテニスで才能を発揮した。パラリンピックには2004年アテネ大会から21年東京大会まで5大会連続出場。07年に車いすテニス界史上初となる年間グランドスラムを達成するなど、長年にわたって車いすテニス界をけん引した。

 かつてある日本人記者が4大大会20度優勝のロジャー・フェデラー氏(41=スイス)に「なぜ日本のテニス界からは世界的な選手が出ないのか?」と質問した際に「何を言うんだ君は?日本には国枝がいるじゃないか」と切り返したのは有名なエピソードだ。

 絶対王者として君臨してきた一方で、弱気の虫が襲うときもあった。それでも、ラケットに「俺は最強だ」と書かれたテープを貼って自らを鼓舞。東京大会前には「自分自身に1日10回くらい言い聞かせたい」と話していた。かつて東京大会代表の三木拓也(33=トヨタ自動車)は本紙に「たぶん自分に言い聞かせている。自分を奮い立たせているのかなというふうに思う」と明かすなど、どんな状況下でも世界の第一線で懸命に戦い抜いてきた。

 世界ランキング1位のままでの引退。国枝は「カッコつけすぎと言われるかもしれませんが、許してください」とSNS上でつづったものの、残してきた功績は唯一無二。国枝の名は後世に語り継がれていく。