まさに〝極上の初夢〟だった。ノア1日の日本武道館大会で、米WWEのスーパースター・中邑真輔(42)がグレート・ムタとのドリームマッチを制して、世界中のプロレスファンを魅了した。「奇跡の一戦」と呼ばれたムタ戦を終えた中邑が心境を激白。世界中から届いた反響の一部を明かすとともに、2月21日東京ドーム大会で引退する武藤敬司にメッセージを送った。
WWEメインロースターの他団体参戦は異例中の異例。団体最高峰のGHCヘビー王座戦を差し置き大会のメインに据えられた夢対決は、中邑の優雅な入場から早くもボルテージが最高潮に達した。
ムタの毒霧を2度も浴びた中邑だったが、3発目を狙われるとまさかのリップロック。口から毒を吸い取り、中邑がムタに毒霧を噴射という衝撃の〝プロレスLOVE〟を起こす。最後は必殺のキンシャサで激闘に終止符を打った。
大会は札止めの9500人を動員。試合後の会場からは称賛の拍手が鳴りやまず、新年早々にして今年のベストバウトの呼び声が高い。3日に本紙の取材に応じた中邑は「本当に初夢という形容が正しいでしょうね。今朝起きたら『本当に夢だったんじゃないか…あれ、まだ俺試合してないんじゃないか?』ってゾッとしましたよ。やっぱり本当にさらけ出すことができたんだろうなって。入場から帰る時まで」と世紀の一戦を回想。「新年早々『夢を見せる』と恥ずかしげもなく、自信を持って言えるくらいのものができたのは僕もうれしいですよ。しかも日本で」と胸を張った。
中邑自身も団体に働きかけるなど、試合の実現に尽力しただけに喜びもひとしおだ。反響も世界中から届いているという。「(WWE幹部の〝ザ・ゲーム〟こと)トリプルHからもねぎらいの言葉をかけられました。新年のあいさつと一緒に『コングラッツ。それがお前の望んでいた全てなら良かった』って。報われたというより、喜びしかないですよね」と目を細めた。
引退を直前に控えたムタとの邂逅は、中邑にとっても特別な一戦となった。「確実に自分のレスラーとしての血の中に武藤敬司、グレート・ムタというものが入ってきました。この体に感じ取ったものを、自分のスタイルに落とし込んでいきたいなと思います」。約3年半ぶりの日本マットで千両役者ぶりをいかんなく発揮したことで、今後の期待値も跳ね上がったが「まあ自分のケツを叩くって意味もあるし。武藤さんにケツを叩いてもらった気がしますよ」と充実感をのぞかせた。
武藤は2月21日の引退が刻一刻と近づいている。再び世界の舞台に戻って戦い続ける中邑は「僕のなかでは(ムタとの試合で)武藤敬司との物語は終わっちゃってるんですよ。でもやっぱりそこから武藤敬司は何かを見せてくれると思うので、それは楽しみですね。海の向こうから見ておきます」。日本が生んだスーパースター同士が作り上げた〝芸術作品〟は、決して色あせることなくこれからも語り継がれていく。












