世界中のプロレスファン、関係者が仰天した世界最大団体WWEの第一線で活躍する中邑真輔と、“魔界の住人”グレート・ムタの超ドリームマッチが来年1月1日のノア日本武道館大会で実現する。
10月30日有明アリーナ大会で元日決戦の参戦選手にムタの名前がコールされると、対戦相手に中邑が発表された。その瞬間、場内は爆発的な歓声が起きた。ビジョンを通じて中邑は「なんだ? 夢か? 幻か? 紛れもない現実だ。言葉はいらねえ。これは奇跡だ!」と不敵に言い放った。
WWEの選手が他団体で試合をすることはほとんど例がなく、ノア側の粘り強い交渉がプロレス史に残るドリームマッチを実現させた。間違いなく十数年に一度のサプライズだった。
もちろん両雄の激突は初めてだが、ムタの代理人で来年2月21日東京ドームで引退する武藤敬司と中邑は、過去に2回だけシングル戦で激突している。とはいえ現在と状況はかなり異なっていた。
初対決は新日本プロレス2008年4月27日、大阪府立体育会館。IWGPヘビー級王者だった中邑に、当時は全日本プロレスに所属していた武藤が挑戦した。中邑は02年3月に新日本に入門。すれ違うように武藤は同年2月に全日本に移籍しており、接点がないまま時は過ぎた。中邑はデビュー1年4か月でIWGPのベルトを巻き、武藤にとっては実に約8年4か月ぶりのIWGP挑戦となった。こちらも当時は「夢の対戦」だったのだ。
決戦前、武藤は「今回に限っては俺の思惑というか、感情を込めて。リスクもある戦いですが頑張って勝ちたい」と語ると「禁断の初対決」に臨む中邑は「すべてにおいて勝るのは武藤選手の持っている経験。その経験をどう破るか? それが戦いのカギになる」と表情を引き締めた。
そして迎えた決戦。本紙はその詳細を報じている。『大阪が揺れた。地鳴りのような「武藤コール」が止まらない。武藤が体を翻し、新日最強の男を圧し押し潰す。粘りに粘った中邑からついに完璧な3カウントを奪った。天才が鬼と化した。5分過ぎに合計8発の低空弾、計6発のドラゴンスクリュー。必殺の足4の字固めで仕上げにかかった。中邑も引かない。飛びつき式三角絞めや腕ひしぎ逆十字固めで得意の関節地獄に引きずり込んた。しかし武藤は20分過ぎ、ランドスライドを狙った中邑の顔面にヒザを突き刺してロープを使った首へのドラゴンスクリューでダメージを与えると、顔面と後頭部へ閃光弾3連発。さらにヒザ爆弾で追撃するや、最後は大歓声に後押しされるようにコーナーに駆け上がり、ムーンサルトでトドメを刺した。中邑は「借りは返す」とつぶやくと左肩を押さえたまま黙り込んだ。武藤は「大変な試合だった。(技の)引き出しを開けたらカラだったんだけど、最後にスピリット、魂が残っていた」と語った』(抜粋)
初対決とは思えない名勝負だったが、再戦となった10月13日、両国国技館では武藤がフランケンシュタイナーで逆転勝ち。返り討ちを果たしてV4を決め、両雄のシングル戦績は武藤の2戦2勝に終わった。
その後、時代は大きく動いた。中邑は、棚橋弘至と名勝負を展開し、団体を再建に導いてIWGP王座を奪還。11年に新設されたIWGPインターコンチネンタル王座を完全に自分の色に染め上げて、IWGPヘビー級王座と同等の位置まで価値を引き上げた。
そして16年にはWWEへ移籍。NXT王座、US王座、IC王座、SDタッグ王座、「ロイヤルランブル(RR)」RR戦優勝など数々の栄冠を手中にし、現在もメインロースターとして第一線で活躍する。
相手は“魔界の住人”ムタだが、WWEであらゆるタイプと戦っているだけに臆するところはないだろう。逆に米国で大ブレークした先駆者であるムタも、意地でも誰もがあっと驚く攻撃を仕掛けてくるはずだ。2023年初頭を飾る奇跡的なドリームマッチ。アメリカンプロレスというくくりは関係ない。歴史に残る名勝負に期待したい。
(敬称略)












