失意のどん底で差し出された左手に救われた。ソフトバンク・泉圭輔投手(25)が7日、ペイペイドーム内の球団事務所で契約更改交渉に臨み、現状維持の年俸2700万円でサインした。今季は後半戦から一軍戦力に加わるとフル回転。3年連続となる30試合登板、2敗6ホールド、防御率3・72という成績を残した。

 引き分け以上で優勝が決まる10月2日のロッテとのシーズン最終戦(ZOZOマリン)で、悪夢のような逆転3ランを被弾した泉。「自分のせいで負けた。イヤでも誹謗中傷が目に入った。外に出るのも怖かった」と責任を背負い込み、世間のバッシングに深く傷ついた。

 失意の夜、頼もしい左手に引っ張られた。試合後、ビジターの選手ロッカーから球場外のチームバスまでの200メートルほどの導線。号泣しておぼつかない足取りの泉の右手首を力強くつかみ歩く男がいた。鷹のブルペン最年長・嘉弥真新也投手(33)だった。沖縄生まれの心優しき左腕は泉に声をかけながら、カメラのフラッシュの壁になるようにけん引した。

 泉はこの日、こんな逸話を明かした。「打たれたその日に、嘉弥真さんと(甲斐)拓也さんに『無理やりにでもメシに行くぞ』と言われて。嘉弥真さんに自分の部屋まで迎えに来てもらって、拓也さんに手をつながれて焼き肉屋まで行って(2人に)励ましていただいた」。経験豊富な先輩たちも、成功の裏で同じように〝痛み〟を伴ってきた。「しんどい時、一人ぼっちにしてはいけない」。かつて2人はそんな話をしたこともあった。

 会見の最後に「また(同じような)機会があれば投げたい。あの経験を経て、自分がどう成長していくのかをこれからプレーで見せていかないといけない」と語った泉。先輩たちのメッセージは、しっかりと届いている。

(金額は推定)