また1つ階段を上った。フィギュアスケートのグランプリ(GP)シリーズ第6戦フィンランド大会初日(25日、エスポー)、女子ショートプログラム(SP)が行われ、紀平梨花(20=トヨタ自動車)は64・07点で6位だった。
右足首などのケガからの完全復活を目指す中、冒頭のダブルアクセル(2回転半ジャンプ)、3回転サルコー―トーループの連続ジャンプを成功。3回転ループの着氷は乱れたものの、片手側転を披露して会場を沸かせた。「サルコー―トーループの連続ジャンプは決めたけど、ループのところで悔いが残っている」と振り返りながらも、GPシリーズ第2戦スケートカナダのSPでの点数(59・27点)を大きく上回る今季自己ベストをマーク。キスアンドクライでは笑みを浮かべた。
スケートカナダ後の約1か月間はテーマを持って練習に励んできた。「足の状態はすごくよくなってきたけど、まだ心配もあったので、とにかく体力と筋力が強化されるようにただただ滑り続ける感じ。復帰してからまだ滑りこめていないと思っていたので、とにかく滑ることだけを意識してやっていた」。自信がなかったという片手側転もきっちり決め「こうやって世界の大会でお披露目することができてうれしい」と一定の手応えを口にした。
順調に復活ロードを歩んでいる紀平だが、同時に欲も出てきた。「少しでも回復して試合に出られていること自体うれしい思いもあるけど、結果からしてももっともっと上を目指したいという思いが強くなっている。今は早く自己ベストを狙っていけるような状態に持っていきたい」と力強く宣言。焦る気持ちと向き合いながらも、貪欲にレベルアップを目指していく。