【元局アナ青池奈津子のメジャー通信】「得意料理はトライ・ティップの燻製。サーロインに近いんだけど、薄切りにしてミディアムレアに仕上げ、ステーキハウスで出てくるような芽キャベツとマカロニ&チーズをサイドに作るのが好きかなぁ」。フィル・メイトンが少し得意げな、それ以上にうれしそうな表情で話してくれた時、トライ・ティップ(牛のモモの下にある友三角という希少部位)と初めて聞く英単語に脳みそはフル回転していたが、フィルがただの料理好きでないことだけは分かった。何せキッチン必須グッズが…。
「『made・in』の中華鍋。キッチンで一番のお気に入りだね。手入れが厄介で、ケアも必要だから妻にも洗わせないんだ」
中華鍋は英語で「ウォック」と言うのだが、ケンタッキー生まれ、イリノイ育ちの白人の彼から全く予想していない単語が飛び出すので、時代の変化を感じずにはいられなかった。極め付きはこれ。「日本食も作ってみたよ。お好み焼き! フードチャンネルで見て作りたくなって、その時家に合った食材で工夫しながら、できる限り近いものを作れたと思う。薄切りの豚肉の代わりにベーコン、正しいキャベツもなかったけど、あり合わせで作った割にはうまくいったと思った」
「正しいキャベツ!?」と、突っ込みを入れようとした瞬間、「朝食で食べたんだけど、思っていたよりもボリュームがあった。おいしかったけどね」とフィル。
まさかのお好み焼きブレックファースト。確かに形はパンケーキと言えなくないが…。「えっ? 日本では朝食では食べないの? 最後に卵も乗せたからてっきり朝ご飯かと…」。ベーコン&エッグは米国の朝食の王道。間違えるのも無理はない、と2人で大笑いした。
ちなみにいくつかネットで英語レシピをのぞいて見たところキャベツには「アジアン・キャベツ」や「白菜」が推奨されていた。
ロサンゼルスには広島風お好み焼きが食べられるお店があるのだが、フィルはまだ本物を食べたことはないらしい。
「食べに行くのも良いけど、シーズン中のほとんどが外食だから家庭料理が恋しいし、家でゆっくりするのに料理がちょうどいい。手を使う作業も好きなんだ。時間のあるオフシーズンは毎日ディナーに何を食べるか、朝食をどうするかを基準にスケジュールを組んでいる。僕がディナー担当、妻が朝食やランチを作ることが多いかな」
きっかけは単純に大学で自炊が必要になり、母からもらったレシピ本の簡単なレシピやあらかじめ食材とレシピが詰められたクッキング・ボックスの料理から始めたという。今ではパスタもピザも生地から本格的に作り上げてしまう。
「テレビやネットで見て味を知りたいってなったら作ってみる。できる限り、いろいろな国のいろいろな食べ物を試すようにしているんだ。お好み焼きレシピはキープだね」
お好み焼きの醍醐味はやはりあのソース。関西出身ではない自分が言うのも差し出がましい気がしたが、そこは日本人代表。フィルに次は必ず米アマゾンでお好み焼きソースを購入してから作ってほしいと口酸っぱく伝えてきた。便利な世の中になったものだ。
☆フィル・メイトン 1993年3月25日生まれ。29歳。米国ケンタッキー州マクラッケン郡出身。2015年ドラフトで20巡目指名されたパドレスに入団。プロ2年目の17年6月11日のロイヤルズ戦でメジャーデビューを果たし、救援投手として頭角を現す。19年にインディアンズ(現ガーディアンズ)にトレードされ、20年には再びトレードでアストロズへ。今季はキャリア最多となる67試合に登板し、0勝2敗14ホールド、防御率3・84をマーク。ブルペンを支え、チームの5年ぶり2度目の世界一に貢献した。











