全日本プロレスの3冠ヘビー級王者・宮原健斗(33)が夢の大記録に挑む。アントニオ猪木さん(享年79)が死去し、改めて往年のライバルだった団体創業者、故ジャイアント馬場さん(享年61)の偉業を実感。新たな目標に定めたのが、PWF世界ヘビー級王者として馬場さんが樹立した「V38」超えだ。

 宮原の表情が希望に満ちあふれていた。9月18日の「50周年記念大会」(日本武道館)で諏訪魔を破り、6度目の同王座戴冠を達成。これまで野村直矢と大森隆男を退けV2に成功し、メモリアルイヤーの主役に返り咲いた。

 今後の進む道も明確になった。「馬場さんを超える存在になるにはどうすればいいか、考えたんです。それがPWFのV38を超えることだった。誰もなしえない伝説をつくるには、それくらいやるしかないなと」と表情を引き締める。

 3冠王座に統一される前、馬場さんは1973年3月にPWF世界ヘビー級の初代王者となり、現在も日本記録として残る38回の防衛に成功した。宮原は2020年2月に3冠王座の最多防衛記録「V10」に並んでおり、今度は前人未到の「V39」に挑むという。

 きっかけは10月22日の大森とのV2戦だ。会場の新潟・三条市厚生福祉会館は馬場さんの地元で「偉大さを感じましたよね。燕三条駅に等身大パネルが置かれたりして、街全体が馬場さんの街という感じでした。その地で防衛できてよかったです」と振り返る。

 くしくも猪木さんが死去してから3週間後の大会だったため、両巨頭が築いた功績を改めて感じた。

「猪木さんは(1983年6月2日のハルク)ホーガン戦でのベロ出し事件とか、ビックリするようなことをやっていた。突拍子もない行動とか発言が人々を引きつけるのが猪木さんの魅力だと思うんですよ。お二人は世間を巻き込み、すごい時代を築いたんだなと感じますよ。僕もああいうふうになりたいですね」

 次期シリーズ(13日、後楽園で開幕)は大日本プロレス・野村卓矢と出場する「世界最強タッグ決定リーグ戦」が行われるため、V3戦は来年1月の正月シリーズが濃厚。「10回防衛した時は1年4か月かかった。単純計算でも3年以上はベルトを持っていないと…。でも、無理だろっていう記録に挑戦したいので今はモチベーションが上がっています」

 馬場さんは5年3か月かけて記録をつくった。果てしなく遠い道のりを一歩一歩、確実に進み続ける。